連鎖

 

 

 

 

 物事には悪い連鎖と良い連鎖があります。

何をやっても上手くいかず、やればやるほどドツボにハマる・・・

そういうパターンは前者ですね。

こういった”負の連鎖”は断ち切るのも一苦労。

でも、誰しもそんな経験あるんじゃないでしょうか。。。

 私だってその一人です。

そんな時に私が心掛けていることは、一旦落ち着いて自らを俯瞰で見てみること。

その事柄にちゃんと向き合って原因をよく考え、何か迷いがある様なら「正しい」か「正しくないか」という判断基準に徹して(決して「損得」で考えずに)ジャッジするようにしています。

まあそんな時はある種の「諦め」や「開き直り」も必要だったりするかも知れませんが・・・

 

 一方で後者の”良い連鎖”というものもありますよね。

その境遇にいる時にはなかなか気付かないものだったりしますけど。。。

それは時に「運が良かった」とか「たまたまツイていた」だけなんて思われることもありますが、そればかりでは無いはずですよね。

ギャンブルとかなら「運」の一言で片付けられることもあるかも知れませんが(私は全くやりませんので言い切れませんが・・・)、振り返ればちゃんとその裏付けや積み重ねてきたものがあると信じたいんです。

 

 ということで今回はその「良い連鎖」の話です。

 

 

 ありがとう

 

 先週「ランチの日」を開催しましたが、これはその数日前の話です。

朝私が自分のデスクで新聞を読んでいると、”コンコン”と扉をノックする音・・・

普段は始業前の時間、私のオフィスに人が訪ねてくることは滅多にありません。

(誰かな・・・)

と思っていたら、入ってきたのは管理部の部長でした。

(えっ・・・また何かトラブルかな・・・)

悪い報告ほど真っ先に上げてくれる部長です。

意外な訪問に私もちょっと身構えていました。。。

 

 「これ、いつもランチごちそうになっているんで・・・」

そう言って、小さな発泡スチロールを渡されました。

「あ、ありがとう」

意外な展開に戸惑いながら受け取ります。

(釣りに行ってきたのかな?)

大の釣り好き(その昔は早朝に釣りに行ってから出勤してきたこともあるくらい)の部長です。

でも、いつもは4~50cmのクロダイを釣ってくる部長にしては、受け取った箱はあまりにも小さい・・・

 

 「どうしたの?」

思わず聞いてみると、

「お土産買ってきました」

とのこと。

 開けてみると、そこにはなんとマグロ(しかも中トロ)の切り身と小さなタッパーがいくつか入っていました。

「おぉぉぉ・・・すごい・・・」

私が驚いていると、

「漬けダレとか薬味も準備してあるんで、漬け丼で食べてください」

と部長。

「ありがとう!!」

遠慮せずに受け取っちゃいました。。。

 

 

「ランチの日」番外編

 

 出来上がりはこんな感じです。

あ、豚汁はお昼用にコンビニで買ってきたものですよ。。。

それにしてもお昼からこんな贅沢しちゃって良いんでしょうか・・・

そんな罪悪感は少々ありましたが、「いつものお礼に・・・」と言って貰ったものですから良いんです!! 

もちろん、いつもランチを頑張ってくれている総務のスタッフと一緒に食べることにしました。

 

 贅沢にマグロを分厚めに切って(普段ならもっとペラペラに切ります)特製のタレに付け、ご飯にのせたら薬味を掛けるだけ。

シンプルだけどすごく美味しかったですよ。

見ての通り私はワサビを付け過ぎたので、一口目は激しくむせてしまいましたが・・・

結構なボリュームでしたが、あっという間に食べてしまいました。。。

 

 

 こんなことされたら、ランチの日も(もっとがんばろう!!)って気になるものですよね。

みんなに美味しいものをいっぱい食べてもらいたい・・・

そのベースにあるのは、いつも仕事を頑張ってくれているみんなへの「感謝の気持ち」です。

そしてそれがまたこういった形で「いつもの感謝」という形で返ってくる・・・

この「ありがとうの連鎖」って、すごく良い事だと思うんです。

こんな「思いやり」がみんなに広がって、会社の「風土」にまで根付かせられたらいいなぁ・・・

そんな風に思えた出来事でした。

 

 

 映し鏡

 

 

 「想いが伝わる」ことが「連鎖」に繋がっていくんだと思います。

それは良くも悪くもですけど。。。

 

 自分が”好き”な人には必ず”好かれる”なんてことは残念ながらありませんが、自分が”嫌い”な人から”好かれる”ってことはまずないですよね?

というか、むしろ”嫌い”な人からは、恐らく自身も”嫌われている”ことがほとんどのはずです。

そうやって否が応でも気持ちは伝わるものなんだと思うんですよ。

だから相手も同じ想いを持つ様になる。

そういった意味で「人間関係は映し鏡」とも言えます。

 

 最近、現場のリーダーに「まず自分がその”姿勢”を示すこと」を要求することがありました。

細かくはここでは言いませんが、あまりやる気を感じないメンバーに対する愚痴みたいなものから始まった話です。

「あなた自身は相応の熱量で職務に取り組んでいるのか?」

「自身の気持ちの中で、妥協したり諦めたりしていることは無いのか?」

そんな話に発展してしまいました。

 でも考えてみてください、上司に変な”割り切り”や”緩み”があれば、それはメンバーにも当然伝わってしまってやる気を失ってしまいますよね。

逆に上司自身が”すべてに責任を負う”という情熱や”退路を断つ覚悟”を持って職務に励んでいれば、そのチームには活気が生まれて士気も高まるんだと思うんです。

そういう「雰囲気の連鎖」ってあると思うんですよね。

ただ「やれ!やれ!」と言うだけでは無責任な気がしてしまいます。

そう意味で、まず先頭に立つ人自身が「姿勢を示す」ことは、何より大切なことなんじゃないでしょうか・・・

 

 

 Give-and-Take

 

  

 「ギブアンドテイク」という言葉がありますよね。

ニュアンスとしては「持ちつ持たれつ」みたいな感じでしょうか・・・

テイクを「見返り」と捉えてしまうとちょっと打算的な感じがしてしまいますが、私はそういう感覚では捉えていません。

 「与えて初めて与えられる」そんな風に私は解釈しています。

だから「テイクアンドギブ」じゃないんだと。。。

そしてそのテイク(得られるもの)はあくまでも「結果として」得られたものであって、そもそもギブの時点で目的化(見返りとしての期待)をしてはいけないものだとも思っています。

だって相手に何かを求めることが目的化すると、そうならなかった時に逆に不満に思ってしまいますよね。

またそれを対価と捉えてしまうと(こっちはこんなにしてやっているのに・・・)と、感じてしまうこともあるかも知れません。

そんな打算的なギブアンドテイクなら、その想い(下心)は必ず相手に伝わってしまうものです。

 

 似た日本のことわざに「魚心あれば水心」というものがあります。

「相手が好意を表してくれたら、自分も相手に好意で応える」という意味ですが、これは私にはあまり馴染みません。

起点が相手側にある感じというか、なんとなく対等でない感じを受けてしまうんです。

 やはりまず自らが想いを表現して姿勢を示す、損得勘定や見返りを求めたりすることなく、100%のエネルギーで。

きっとそうすることが、相手に想いを正しく伝えることに繋がり、良い意味での連鎖を生んでいくんだと思うんです。

そしてその好循環が、エンゲージメント(会社と社員の間の信頼関係、愛着)を高めていくことになるんだと信じています。