”考える”こと

 

 

 

 例えば子供の頃、私が学校へ行く目的と言えば、友達と遊ぶことや美味しい給食を食べること、部活で好きなスポーツに汗を流すことなんかだったりするわけです。

少し大きくなれば、カワイイあの娘に会う為だったり、友人とちょっとした悪さをしたりすることが追加されましたが、「勉強をしに行く」ことが目的だったことはほとんどありません・・・

まあそれは私に限った話ではなく、多くの人がそんなもんだったんだろうな・・なんて思いますけど(ひょっとして私の周りだけだったりしますか!?)。

 

 テスト=クイズくらいに考えていた私にとって、「勉強をする」ということはそれほど重要ではありませんでした。

「勉強なんかしたって、将来何の役にも立たねえじゃん??」

みたいな感じ。

勉強をすることに意義を見出せなかったんですね。

まあ、それもよくある話です。

 

 でも大人になった今、当時の私の様な子供を前にしたら、私はきっとこう諭すんだろうと思います。

「勉強をする目的は、多くのことを記憶して知識を蓄えることではない。答えに辿り着く為に”考えること”自体が目的であって、それはつまり”考える力”を身に付ける為の訓練をしているということなんだよ。」

 

(どの口が言うとんねん!!)

幼い頃の私を知っている人は、そういうかも知れませんが・・・

でもその”訓練”を私自身がこれまで疎かにしてきてしまったが故、今私はこうして苦労しているんですからね。。。

 

 

 なぜ?なぜ??なぜ???

 

 当社では、不具合が発生すると「是正予防報告書」という書類が品質管理課により発行されます。

これは不具合を発生させた担当者を責め立てて反省を促す・・といった、「始末書」的な性質のものではありません。

不具合の発生に関わった当事者自らが原因について考え、その真因まで掘り下げて追求し、再発を防ぐための効果的対策とそれを恒常的に維持するための歯止めとなる予防措置を立案する為のものです。

もちろん上司や品管スタッフ、時には私も入って考えるのですが、これがまた結構大変・・・

 

 やっぱり難しいのは「真因」に辿り着くまでのプロセスです。

起きた現象から始まって、「なぜ?」「なぜ??」と繰り返し掘り下げていくのですが、どうしてもあらぬ方向にズレていってしまうんですよね。。。

そうするとなかなか有効な対策を講じることができません。

物事をきちんと分解して、その原因と結果を結びつける因果関係を順序立てて考えることは、逆に担当者自身だからこそ難しくなってしまうことがあるんです。

対策から考えてしまったり、現象から一足飛びに原因まで辿り着こうとしたり・・・

なまじっかその仕事についての知識や経験があるだけに、「なぜなぜ」が破綻してしまいがち。

「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな、因果関係をすっ飛ばした短絡的な思考に陥ってしまう傾向にあるんです。

 

 つまり「風が吹くこと」と「桶屋が儲かること」の間にあるストーリーを分解して、順序立てて考える必要があるということ。

 

  1. 桶屋が儲かるのはなぜ? ・・・ 桶の修理や買い替えの需要が増えるから
  2. 需要が増えるのはなぜ? ・・・ ネズミが増えたことで、かじられる桶が増えたから
  3. ネズミが増えたのはなぜ? ・・・ ネズミを捕まえるネコが減ったから
  4. ネコが減ったのはなぜ? ・・・ 三味線を作る材料としてネコの皮が必要となり、大量に捕獲されたから
  5. 三味線をたくさん作るのはなぜ? ・・・ 三味線を買う人が増えたから
  6. 三味線を買う人が増えたのはなぜ? ・・・ 失明する人が増えたから(昔は三味線弾きは視覚を失った方の代表的職業だった)
  7. 失明する人が増えたのはなぜ? ・・・ 突風で砂埃が目に入ることが増えたから

 

 この様に因果関係を整理していくと、その現象を防ぐ効果的な対策が考えやすくなりますよね。

はい、つまり「桶屋が儲からない様にする」為の有効な対策としては、「みんなで防塵メガネをする」ということが一つの解となる訳です(桶屋さんごめんなさい。。。)

 

 今週一人のスタッフが、この「是正予防報告書」にずいぶん手こずっていました。。。

私も途中で何度か書面を見ましたが、説明過多が祟って論点の整理がつかず、自ら迷宮に迷い込んでいるような感じ・・・

きっと「分解」することが苦手なんでしょう。

以前から「箇条書きで書いた方が整理し易いよ」とアドバイスはしているんですけどね。。。

 この論理的な思考が出来るようになれば、今回の様な品質問題だけではなく、業務改善なんかにも役立つはずです。

様々な「問題発見」や「問題解決」には欠かせない思考法だと思いますよ。

 

  

 ロジカルシンキング

 

 和訳すればそのまま「論理的思考」という意味です。

やっぱり苦手な方が多いんですよね。

かく言う私も言うほど得意なわけではないですけど。。。

でもどんな業種、或いはどんな立場であっても、このロジカルシンキングの活用は、仕事を上手く進めていくうえでは欠かせないものなんじゃないかと思っています。

 

 私の考えるロジカルシンキングの定義は「感覚的に物事を捉えるのではなく、筋道を立てて矛盾や破綻がないように論理的に考えて結論を出す思考法」となります。

この定義の中で「論理的」という言葉を使ってしまうのはちょっとズルい気もしますが、上手い具合に言い換える能力を私は持ち合わせておりません・・・

 

 そしてこのロジカルシンキングに欠かせない、必要とされる要素は

  • 主張・根拠に妥当性があり、筋が通っている
  • 経験や印象に歪められたバイアスに捉われない
  • 合理性(効率性)を考える
  • タスクの分解を適切に行う
  • 因果関係から本質を正しく把握する
  • 定義や数値を正確に理解し、定量的に考える

 などと言われています。

一つ一つ説明すると長くなりそうですので、気になった方は一度調べてみてください。

 

 ロジカルに考えられるということは、物事を分析する力や客観的に判断する力が向上し、問題の真因追究から解決への筋道を立てやすくなることと同義です。

加えて「相手の話を理解し易くなる」「相手に自分の話を理解して貰い易くなる」など、コミュニケーション能力の向上にも資するのではないかと思います。

 ロジカルシンキングで論理的に考える”癖を身に付けることは、多くのメリットをもたらしてくれるんじゃないでしょうか。

  

 

 100%の答え

  

 冒頭で、”当時の私の様な子供を相手に・・・”なんて話をしましたが、もう一つ付け加えるとしたら、

「大人になってから君の前に現れる”問題”には、意外にもそもそも正解のない問題だったり、答えが数年後にしか分からないような問題が多いんだ。だから今は、すぐに答え合わせができる問題を通じて、本当の意味で”考える力”を身に付けておかなければならないんだよ」

とも伝えたいと思います。

まあ当時の私であれば(このオッサン何言ってんだ!?)みたいな感じでしょうけど。。。

 

 目の前に二つの道があった時、どちらに進めば良いのか・・・

その答えは、終着点の景色を見るまでは分かりません。

ましてその答えが、100%自らの望むものであったかどうかなんて尚更です。

しかしそこに到達した時には、どれだけ後悔しても元の分岐点に戻ることは出来ません。

時間を巻き戻すことはできませんからね。

 だからこそ目の前に解決すべき問題があるのなら、その問題にしっかりと向き合って、よ~く考えてください。

出来るだけロジカルで合理的な思考法で。

そこで立ち止まった時間は絶対ムダではありません。

それは次の問題に直面した時に、きっと大きな力になるものなんだと思いますよ。