正しく伝える

 

 

 血の繋がった親や兄弟であっても、相手の意図や想いを100%理解することは難しいものです。
まあ親兄弟だから余計に・・・ってところもあるのかな。
他人に抱くことのない感情が邪魔をしてしまう部分もあるでしょうからね。
でもそれだけ相手のことを知っていても齟齬が生じてしまうのですから、仕事上で相対する人が相手となれば言わずもがなです。

その相手との間に利害関係があったり、立場や知識、経験などの背景が違ったり、或いは自分と相手とで目的や目標の方向性が異なっていたり・・・
そういう相手を理解して共に仕事をすることは、一見至難の業のように思えてしまいます。
だからと言ってコミュニケーションを拒んだところで、何の解決にもなりません。
だって仕事を進めていくためには、やはりどんな場面でも人との関わりが必要となるからです。

中には一人で仕事をやっている様な勘違いをしてしまっている人もいますけどね・・・
確かに自分でやれば、基本的にはその進捗も出来栄えも100%自分の思い通りになります。
でもそんなのは所詮自己満足に過ぎないんですよ。
だってどれだけ頑張ったところで、一人でできる仕事は一人分の仕事でしかありませんからね。
瞬間的に120%の出力が出せたとしても、そんな無理はいつまでも続けることは出来ません。

だからこそ仕事はチームでやらなければならないんです。
そしてその為には、相手のことをちゃんと理解しようとする努力を欠いてはいけませんし、同時に自分の思いや考えを相手に理解してもらおうとする努力も尽くさなければなりません。
それが仕事で成果を上げる為の必要条件であると、私は考えています。

 

 伝える努力

 

 一般的なコミュニケーションは双方向のものですので、お互いを理解しようとすると共に、お互いに正しく伝えようとする姿勢が必要です。
どちらか片方が言いっ放し、言われっ放しでは、コミュニケーションなど成立しませんからね。
一方それが仕事上のものだとしたら、理解することと伝えることの比重は偏ってきます。
それは立場やそれに伴う責任によって生じる偏りですので、ある程度は仕方のないことです。

例えば私の場合は、もちろん相手の言うことに耳を傾けて真意を汲み取ろうとする場面も日常的にありますが、それ以上に相手に私の思いや考えを伝え、正しく理解してもらおうとする場面の方が圧倒的に多くなります。
繰り返しますが「相手の話を聞かない」ということではありませんよ。
それよりも私が伝える側になることが非常に多いということです。

 

でもこれがなかなか難しい。。。
確かに2~3割言えば10伝わる・・・みたいな人もいます。
それで7~8割伝わる人も何人かはいるでしょう。
でも10言っても5~6割しか伝わらない・・・なんて人の方が多いのが現実なんですよね。
しかも中には10言っても1~2割しか伝わらない・・・
5割を理解してもらう為には30以上の言葉と時間を費やさなければならない・・・
そんな人もいるものです。

当然私に非が無いとは言いませんよ。
伝え方、語彙力、シチュエーション等々、工夫や改善が必要なところも多分にあると思います。
正しく伝わらない原因は、少なくとも半分は私にあるはずですからね。
それを相手だけのせいにするつもりはありません。

たまにいるじゃないですか
「教えたのにその通りにやらない!」
「指示したのにその通りにやっていない!」
なんて言って、その責任を相手にだけ押し付ける人。

あんなの
「私は無能な管理職です!」
って自ら手を上げて言っているようなものですよ。
言ったとおりにやっていないのは「言っていない」のと同じじゃないですか。
だから「言っているんですけど・・・」なんていうのは言い訳に過ぎないんです。

言って、正しく伝わって、言ったとおりに実行される。
そこで初めて「言った」ということが成立したことになります。
そういう意味では言った側も、正しく伝わっているかどうか、その上で実行されたかどうかまでフォローするのは当然の責務です。
そして実行されていなかったのならそれは伝わっていなかったのだと自責で考え、どうすれば伝わるのかを自問して、正しく伝える努力を惜しんではなりません。

 

 伝言ゲーム

 

 更に何より厄介なのは、私の伝えたことが「伝言ゲーム化」してしまうことです。
これにはいつも悩まされるんですよ。
現に今も現在進行形でそんなことが起こっているそうです・・・
Aさんが私のところに来た時に話したことが、B→C→Dさんへと伝わり、Dさんから話を聞いたEさんが「どういうこと!?」って感じで、別の話になって私のところに戻ってくるんです。
ふぅ・・・

この手の事例では、最早私の伝え方どうこうといった話ではなくなってしまいます。
どちらかというと受け取る側の問題の方が大きいと思うんですよね。
都合の良い部分やインパクトのある言葉だけを切り取って、尾ひれが付いておかしな話になって広がっていく・・・
そんなパターンが殆どです。

その言葉っていうのは前後の文脈があってのものですからね。
その一部だけを切り取ってしまえば、その後に受け取る人にとっては全然違う意味になってしまうということも少なくありません。
そして気付けば社内のあちこちで「社長がこう言っているらしい」と、私の意図とかけ離れた内容の話が広まってしまうわけです。
多くの場合は悪意のある誰かの仕業ということではありませんが、こういうことはみんなにとっても私にとっても望ましいものではありませんよね。。。

 

 そこで私は二つの対策を取るようにしています。
その一つ目は「出来るだけ一対一で話さない」ということです。
これは話す相手と話す内容次第にはなります。
個人的な話なんかの場合は他に人を入れることは出来ませんからね。

ただそれが仕事の内容であれば、出来るだけ他にも人を入れて話すようにしました。
そうすれば言った言わないの話にもなり難く、認識の齟齬があっても思い込みや誤認を正すことが出来るだろうということです。
今回は別の話をしていたので人を入れていませんでしたが、結果その話の流れからの言葉が独り歩きしてしまった感じ・・・
まあそういうこともあるので、やはり人を入れるというのは一つの解なのかも知れませんね。

 もう一つは「メールで伝える」ということです。
これには二つの目的があります。
一つは履歴として形に残るので、やはり言った言わないの話にはならないこと。
そしてもう一つは、同じ内容で複数人に同時に送れること。
これによって伝言ゲームで意図しない内容が拡散されることを防ぐことが出来ます。

しかしこれにはデメリットもあるんです。
それは私の想いを文章にして表現すると、受け手側がきつい言い方の様な印象を受け易いというところです。
ちょっとおかしいんじゃないかと指摘したり、この件どうなったと確認するような内容でしかないのに、(社長なんか怒ってる・・・)みたいに受け止められることもあります。
行間を読むような感覚が無いと、言葉が直接的に刺さってしまうんでしょうね。
その点は書く方もちょっと気を付けなければならないなと思っています。

 

最近もちょこちょこメールでのやり取りがありました。
人によってはひょっとしたら(直接言ってよ・・・)なんて思っている人もいるかも知れませんね。
だって上司や同じチームのメンバー、部門を跨る内容であれば他部門の人までCCに付けて送っていますので・・・
でも悪気があってのことではありませんので、気を悪くしないでください。
全ては偏に正しく伝えたい・・・という想いによってのことなんです。

まあそれだけやっても話を捻じ曲げて拗らせる人っているんですけどね。
当社にも数年前に退職された方でそんな人がいました。
基本的に多くの場合では本人に悪意はなかったんだと思います。
(たまにわざと違うように言っているな・・・という時もありましたが)

それでもなぜか彼女のフィルターを通すと、言ってもいないことが言ったことになっていたり、やってもいないことがやったことになっていたり・・・
そしてそれを人間拡声器のようにあちこちで吹聴して騒ぎ立てるので、ちょっと手に負えない感じだったんですよね。

その当時に比べれば今は平和なものです。
今起きていることも、恐らく伝え聞いた人にはある程度は真意が伝わっていると思います。
私が言っていることの芯は変わっていませんからね。

そして私以外でもそういうことは起きているんだと思います。
現に少し前に「○○さんがこう言っていた」という話を小耳に挟みました。
でもそれも恐らく伝言ゲームの結果なんだろうな・・・とあまり取り合うこともしませんでした。

 

 チームで仕事をする以上、そういうことを避けて通ることは出来ません。
だからこそ相手を正しく理解しよう、相手に正しく伝えようとすることが必要だし、そこから逃げてはいけないんです。

今でも人の話を聞かない、言動が軽くて雑、なんて人いるんじゃないですか。
でもいつまでもそんな姿勢で仕事をしていたら、周囲からの信頼も失って孤立してしまうものです。
そしてそんな風では周りに迷惑を掛けるだけでなく、自分の仕事もままならないようになってしまいます。

心当たりのある方は今すぐにでもその姿勢を正すべきです。
その為にはまず相手を理解し、相手に伝える努力を誠実にするところから始めるべきだと思います。
「信頼を失うのは一瞬、取り戻すのは一生」なんて言葉もあります。
今の状態が続くようでは、いずれ手遅れになって取り返しのつかない事になってしまいますよ。。。

 

 

 

 

 

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