
今週は火曜日に「生産会議」がありました。
前月の生産状況の振り返りや当月の受注フォーキャストの報告、前の週に開催された営業会議からのフィードバック、何か問題があればその原因と対策の協議などなど・・・
繁忙期には様々な問題提議に課題解決、連絡調整などがあるので、時間内に終わらないぐらい会議が紛糾することもあります。
一方で現状の生産状況は比較的落ち着いた状況ですが、こういう時はこういう時なりに、まあ色々とあるんですよ。
今後の為に進めておくべきことや、今までやれなかったやるべきことが。。。
最近今の仕事の流し方を改善しようという取り組みを進めており、この会議でも話し合っていました。
その改善しようとしているやり方は、実は今までも何度も挑戦しては上手くいかず、途中で断念してしまっていた取り組みなんです。
でもみんな「在るべき姿」はそのやり方であるとも理解しています。
毎度上手くいかなくなる原因を並べ、
「根本的な考え方や価値観を抜本的に変えないといけないんじゃないか」
そんな話が出ていました。
組織の核となる価値観、日常的な仕事での意思決定や行動の指針となるコアバリュー。
今こそ働く全ての人が共通の価値観に基づいて考え、行動していかなければなりません。
システム思考

ある問題や出来事に対して、互いに影響し合う要素や構造を一つのシステムとして捉え、物事の全体像から解決へアプローチする考え方を「システム思考」といいます。
そしてそのシステム思考の基本的な考え方の一つが「氷山モデル」です。
この氷山モデルとは、目に見える現象や問題、出来事は全体の事柄のあくまでも「一部」であり、実際にはその下にもっと大きなものが隠れている・・・という考え方で、その全体を4つの階層に分けて考えるシステム思考のフレームワークです。
1層目 イベントレベル
階層の一つ目は海面に表出している部分、「イベントレベル」です。
これは表面化した物事であり、全体の中で最も認識し易い「できごと」のこと。
でもこれは正に文字通り「氷山の一角」に過ぎません。
氷山も見えている部分は凡そ全体の10%程度で、残りの90%は海中にあるそうです。
それと同じように、その事柄全体で考えれば残りの90%はその下の階層にあるということになります。
例えば私たち製造業で言えば、「生産工程で不具合が発生した」という問題。
この場合のイベントレベル(できごと)は、その発見された不具合そのものです。
当然不具合は損失を生みますし、流出してしまえば信用問題にも発展してしまいます。
なんとか解決しなければならない問題。
でもこの表面化した問題を、「できごと」のレベルだけで捉えて解決しようとしても、本質的な解決にはなりません。
所詮この問題に対しての対症療法にしかならないからです。
水平展開も出来ないので、人が変わったり時間が経ったりすればまた同じことが起き得ます。
2層目 パターンレベル
2つ目の階層は「パターンレベル」。
これはその起きたできごとや、問題の発生する傾向や規則性のことです。
いつ、どこで、誰が、何を、どのように・・・
過去を遡り、繰り返される現象を見ていくと、何らかのパターンが見えてきます。
そしてそのパターンを認識できれば、未来に対してもどういう時にどうなるのか・・・と推測できる様にもなります。
例えば先述の不具合の例で言えば、「夏場になると加工機の加工不良が増える傾向にある」と言う様なパターンです。
そのパターンの予測から、何らかの対策を講じることが出来るかも知れません。
予防的な措置を取ることが出来れば、損失の発生も未然に防ぐことが出来るはずですね。
3層目 構造レベル
しかしパターンを予測するだけでは、やはり本質的な対策とは言えません。
そのパターン自体を変えてしまえばより確実な効果が期待できますので、その方が建設的ですよね。
ではパターンをどう変えればよいのか・・・
その為にはそのパターンを産み出している構造を考えなければなりません。
パターンを持って繰り返される問題は、構造的な問題があると考えます。
例えばそれが一見「人」に起因しているように見えてもです。
構造が人にそういう問題を起こさせている・・・
なぜなら多くの場合、その担当者や管理者を入れ替えても、同じ問題が同じパターンで起こるからです。
だから構造に手を入れる。
3階層目は「構造レベル」です。
不具合の事例で言えば、「生産設備はドライエアーの供給が安定加工の前提だが、湿度の高い時季はマメにエアフィルターのメンテナンスをしなければエアーに水分が混入して動作不良が起こり易い」みたいなことがあるかも知れません。
パターンの構造まで踏み込むと、どうすればそのパターンを変えられるかを考えられるようになります。
4階層目 メンタルモデルレベル
氷山モデルの最下層とされているのが「メンタルモデルレベル」です。
これは価値観や思想信念、固定観念や思い込み、企業風土もあると思います。
つまり意識/無意識レベルの精神的な「前提」のこと。
氷山も作られるのは下層側からです。
そしてこのメンタルモデルレベルも事柄全体の「根っこ」となります。
だからこれを根本から変えることが出来れば、行動そのものも変化し、自律的に良いパターンへの変化を遂げられる組織を作り上げることが出来る訳です。
不具合の例なら「付帯装置の保守よりも生産を優先さようと考える傾向があり、異常が起きてからの事後対応が常態化していた」と言う様な具合ですね。
それぞれどの階層に視点を置くかで対応が違ってきます。
1階層目の「できごと」を見ているだけでは「ダブルチェックを実施する」とか「チェックシートを作成して検査を強化する」といった反応的対応となります。
一方で4階層目の「価値観や風土」といった階層まで掘り下げれば「品質優先を前提として予防保全活動に取り組むべく付帯装置の保守計画を策定。異常の発生を抑止して品質の安定化を図る」といった本質的な対応が可能です。
事柄の全体像を見て問題解決をする「システム思考」。
深く掘り下げることで、より本質的な改善が出来、より広範囲に影響を波及させることが出来るはずです。
「ソフト」と「ハード」

システム思考で物事の全体像を見て、その最下層の根本から変える必要があったとして、じゃあどうすれば良いか・・・
価値観や組織風土なんてそう簡単に変えられるものじゃないですよね。
分かっちゃいるけど変えられない。
根が深ければ深い程、変えるのにはそれなりの労力と時間は掛かるものです。
その為に必要なのは、「行動や実績の積み重ね」です。
そうして積み上げた成功体験が価値観を変え、新しい価値観を生み、組織風土として根付いていくのだと思います。
ではどう積み上げれば良いか・・・
「残業が常態化していて、定時で帰り難い」「上司が有給を取らないので有休を取得し辛い雰囲気がある」
今どきは少ないかも知れませんが、そんな「長時間労働に価値を置く」古い価値観の企業があったとします。
そこでその古い価値観を変えようとする時、定時に帰るように各個人に促したり、有給の取得を勧めて個人の価値観を変えようとしたところで、なかなか効果は見込めないでしょう。
それよりも会社としてノー残業デーを設定するとか、管理職から有給の完全消化を義務化する(これは法的に大丈夫なのか分かりませんが・・・)とか、制度や仕組みを変えた方がすぐに変化は見込めます。
前者をソフト的な対策とするなら、後者はハード的な対策になりますね。
評価制度や社内ルールなどのハード面で仕掛けを作り、無理やりにでも実行することで実績を積み重ねるのが良いんじゃないでしょうか。
それによってソフト的な個人の価値観も変わっていき、それが組織全体の雰囲気や価値観を変えていくんだと思いますよ。
翻って今回の会議で話していた、仕事の流し方改善の件。
これもそういう意味では「ハード」的な仕組みの変更です。
これを何が何でもやり抜くことができ、それを持続させることができれば、また一皮剥けて私たち自身が成長できるんじゃないかな。
そうすれば、またそこに新しい価値観も生まれるはずです。
古い価値観を壊すのは、それなりにエネルギーが要ります。
でも「後回しを善しとしない」「決めたことは粘り強くやり抜く」といった価値観が根付き、私たちの「コアバリュー」として組織風土にまで昇華させることが出来たなら、こんなに強いものはありませんからね。
今度こそ定着させられる様、みんなで協力してやり切っていきたいと思います!!