コントロール

  

 小学生の頃は、秋から冬の季節はサッカー部で、春から夏の間は野球部でした。
中学校は通年だったんですけど、小学校はそれぞれ半期しか活動しない、ちょっと変わったシステムだったんです・・・

 今では両方ともプレーすることはありませんが、私的には観るならサッカーでやるなら野球って感じ。
野球ってもちろんチームプレーではあるんですけど、「投げる」「打つ」「走る」など、個々の場面では一対一なんですよね。

 局面で見ると「個人戦」みたいなところが、「やるなら野球」って思う原因なんだと思います。
最終的にはチームとしての勝敗ですけど、一対一の勝負で勝ち負けがはっきりするところが、好きなんだろうなぁ。。。
個人戦なら勝負に負けても人のせいには出来ないですし、逆に勝負に勝てば自分の力の証明にもなりますからね。

 5年生まではキャッチャーも兼任していましたが、6年生からはピッチャーに専念。
小学生ながら、座ったままノーバウンドでセカンドまで放れていたくらい肩が強かったので、それを買われてのコンバートでした。

 いつも「打てるもんなら打ってみろぉぉぉ!」って具合の全力投球。
そんなんだから、12球続けてボールでノーアウト満塁になってから・・・三者連続三振!!
そんな大味なピッチングでした。
コントロールなんか全然気にしちゃいなかったんですね。。。

 

 

 出来ることと出来ないこと

 

 

 コントロールと言えばだいたい意味は通じるぐらい日本語化していますが、元は当然英語です。
じゃあそれを日本語に訳してみると・・・
「制球」以外に「管理」「抑制」「制御」といった意味にもなります。
小学生なら”ノーコン”でも構いませんが、いつまで経っても”ノーコン”じゃ困っちゃいますよね。。。
大人なら管理、抑制、制御、出来ないといけません。

 それでも難しいのが「心(感情)」のコントロール。
特に負の感情のコントロールですね。
大人になればなるほど、背負うものが多くなればなるほど難しくなります。
でも難しいけれど、それって生きていく上で絶対に必要なスキルですよね。
それによって仕事だったり人間関係だったり、良くも悪くもなってしまいますから・・・

 私の周りを見渡しても、
(もうちょっと上手くやればいいのにな・・・)
なんて思う人がよく居ます。
不安、迷い、恐れ、怒り、苛立ち、不満、プレッシャー、妬み、嫉妬・・・
コントロールしきれない感情の僅かな発露。
これって周りの人も不快ですけど、何より本人の為にならないんですよね。。。

 

 そういう私だってそれなりにストレスもありますし、ネガティブな感情に支配されそうになる時だってあります。
人間ですから、そりゃあそんなもんです。
じゃあそういう時、私が心を抑制するために第一にすることは・・・
「”自分でコントロール(制御)出来ること”にフォーカスする」ということ。
逆に自分でコントロールできないことに対して執着すると、ネガティブな感情は増幅されてしまう気がするんですよ。。。

 例えば仕事の上で、私の指示通りに仕事をしない人がいたとします。
もちろん手を尽くしてやれるだけのことをやったにも関わらず、それでもダメな場合の話ですよ。
そんなとき私は
(なぜ指示通りにやれないんだろう)
(私の指示が悪い?伝え方がダメなのか?)
(どう説明すれば良いんだろう・・・)
と考えます。
私がコントロールできるのは私自身だけなので、私に出来ることを考えるんです。

 もし仮にそこで指示通りに仕事をしない人にフォーカスしてしまうと、
(言う通りにしないこいつが悪い!)
(これぐらいの事が出来ないなんて、使えない奴だ!)
(これだけ言っても理解できないなんて、頭悪いんじゃないか?)
という方向に思考が向いてしまうものです。
だけどいくら同じ職場で働く仲間であっても、言ってしまえば別人格を持った他人です。
そんな簡単に人をコントロールなんて出来るものじゃないじゃないですか。。。

 コントロールできない相手を変えるのは難しいですが、コントロールの効く自分であれば変えるのは簡単です。
ああ、誤解の無いように言っておくと、「相手に合わせて自分を変える」という意味ではないですよ。
あくまでも自分の目的の為(この例で言えば、私の指示通りに仕事をしてもらう為)に、考える方向を変えるという意味です。
結果的にはその方が上手くいくことが多い気がしますし、お互い不快な想いをしなくて済むと思うんですよね。

 

 「隕石が降ってくるかもしれないから、一生外出しない」
そんなのおかしいですよね?
自分でコントロールできないことに拘っていたってしょうがないじゃないですか・・・
 「事故に遭うかも知れないから、車には乗らない」
だったら事故を起こさない様に、自分は法令に従って安全運転を心掛けていれば良いんです。
自分に出来ること、コントロール出来ることにフォーカスすれば良いだけですよ。
それでも「貰い事故」は起き得ますけど、そればかり気にしていたら身動き取れなくなって、自分が不利益を被るだけなんですからね。。。

 

 

 「Why」⇒「How」

 

 

 昨年ワールドカップカタール大会に出場していた日本代表SBの長友選手が、
「メンタルは技術なんです」
という様な話を、インタビューでしていました。
(確かにそうだよなぁ・・・)
私も全く同じ考えです。
潜在的な強さ弱さは、先天的に備わっている部分も確かにあると思います。
でも大事なのは、それをコントロールする「術」なんですよね。

 因みにこの長友選手、その術についても話していました。
それは『「Why」を「How」に変える』というものです。
 例えば何かミスをしてしまった時
(なんでこんなミスをしてしまったんだろう・・・)
(なぜあの時こうしなかったんだ・・・)
最初は誰もがそう落ち込むものです。
そうして原因を考えるのも、次にミスをしない為の大切なプロセスですが、ずっとその考えに留まって自分を責めていたって前進することは出来ません。

 だからどこかの時点でその「なぜ」を「どうしたら」に切り替える必要があるんです。
(どうすればあのミスを防ぐことが出来るんだろう・・・)
(どうやって今後取り組んでいったらいいのか・・・)
といった具合にです。
そうすればネガティブな感情もポジティブに切り替えられるというもの。
さすが「メンタルモンスター」と呼ばれるだけありますね。
ブラボーです。。。

 

 同じく元サッカー日本代表のキャプテン 長谷部選手も、著書の中でこう言っています。
「心は鍛えるものではなく、整えるもの」
やはり心をコントロールする必要性を語っていました。
そしてその為に
・誰に対してもフラットに接する
・固定観念に囚われない
・常に「最悪のケース」を想定する
・愚痴や負の言葉は心を乱すだけなので口にしない
などの「術」を行っているそうです。

 39歳となった今もブンデスの第一線で活躍する長谷部選手。
監督からはプレーだけでなく、その存在感や人柄に対しても絶大な信頼を寄せられているそうです。
「個」の強い代表選手をキャプテンとして束ね、3度のワールドカップ出場、キャプテンとしての代表キャップ数も日本代表歴代一位を誇る名選手。
そのキャプテンシーは、「心を整える」ことで培われたんだと思います。

 

 

 

 この前面談したスタッフは
「僕、メンタル弱いんですよ・・・」
なんて話してたっけ・・・

 昨日の月例品質会議でも
「ついヒートアップしちゃって・・・」
という報告もあったりしました。。。

 十人十色、みんなそれぞれの考え方や想いがあって当然だし、それでいいんだと思います。
そこに誰もが合意できる、100%の”答え”なんかありません。
それでもみんなで協力して、同じゴールを目指して進んでいくのが「仕事」ですからね。

 ネガティブな感情は誰にでもあります。
メンタルは、基本的に誰だって弱い。
だからと言って、その心に蓋をする必要なんてありませんよ。
ちゃんとその心に自分自身が向き合って、それをコントロールすれば良いんです。

 難しいですけどね・・・
でも必要なことです。
みんながそうやって少しずつ意識を変えていけば、きっともっとみんなが働きやすい職場になるんじゃないかなぁ・・・
私自身も「心のコントロール」、もっと意識してやっていきたいと思います。。。