アイデア

 

 

 アイデアと言っても、何もこれまでにない斬新なモノを産み出したり、全く新しい価値を作り出す様な、そんなクリエイティブなことばかりではないんです。
 日常業務においても、計画通りにうまく事が運ばなかったり、もっと改善出来るはずなんだけどどうしたら良いか分からい・・・
そんなことたくさんありますよね?
その様な時、いったいどうしたら良いのでしょうか・・・

 問題点を洗い出し、原因を追究して、具体的な対策をとる。
簡単に言っていますが、これが出来る様で出来ないんですよね。。。
普段からそういう考え方が染みついていなければ、いざという時にそういう思考に辿り着かないものです。

 今週も私の部屋(通称=駆け込み寺)には、
「思った通りにいかない・・・」
「どうしたらいいか分からない・・・」
「なんでこうなっちゃうんだろう・・・」
そんな感じで何人かのスタッフが相談(愚痴?)にやってきました。

 最近の私は、敢えてそんな時に「こうすれば良い」といった『答え』は言わないようにしています。
いくつかのアイデアや考え方のヒントを伝えることはありますが、そこはあくまでも自分で考えてみて欲しいという想いがあるからです。
 そこで私が「こうしなさい」と言ってしまうと、何故そうしなければならないのか、何故そうしてはいけないのかが分からないまま、「言われたことしかできない」人になってしまいます。
 ひょっとして今の社内に「どうすればいいのか分からない」人が多いのだとしたら、その責任の一端はこれまでの私にも一部あるのかも知れませんね。。。

 

 
 1からではなく

  

 話を聞いてみると、それは既に行き詰っているからなのかも知れませんが、考えが硬直してしまっている様に感じることが多いんです。
「今までそうやってきたから」
「前任者がそうしていたから」
「最初からこうなっていたから」
などなど・・・

 本当にそうなの??
1から考えるのではなく、0から考えてみるべきです。
前提を疑って、根本から考え直した方が良いですよね?
だって、今までのやり方で上手くいかなくなり、それではダメだから行き詰っているんですから、その延長線上に答えはありません。
 もちろんそのプロセスの一つ一つを見直し、そこに問題の原因があるのであればそれを潰すべきですが、そこに現象に直結するような原因が無いのであれば、前提を覆してでもゼロベースで考え直さなければなりません。

 例えば生産機械の加工不良に悩んでいる工程があったと仮定します。
「今までは上手くいっていたのに・・・」
「メーカーに問い合わせても、具体的な原因や対策は分からなくて・・・」
オペレーターのスタッフも頭を抱えてしまっていたとします。

 もちろんその不具合が起こり得る原因をいくつか推察し、消去法で一つずつ潰していくプロセスは必要です。
消耗品や光学部品の損耗の確認に始まり、加工方法や形状、材料やサイズによって異なる傾向があるのかどうかを分析するなどして、原因を特定する為にやれることは全部やらなければなりません。
 今までに同じような不具合は無かったか、その時はどのような対策をしたのか、そういった引き出しの多さも良い職人である為の重要な要素です。
ただデータを呼び出して、材料をセットしてスタートボタンを押すだけ・・・一定のキャリアのあるオペレーターであれば、それじゃあ物足りませんよね。。。

 原因が掴めないからと言って、具体的対策をとらないままで業務を再開するなんてことは以ての外ですよ。
それはただのギャンブルですからね。
仕事は一か八かでやるのもではありません。
結果として材料や時間を無駄にしてしまいますし、それで二倍三倍の工数が掛かれば、後ろの工程にもそのしわ寄せが行ってしまいます。
ではどうすれば良いのか・・・

 前提を疑ってみて下さい。
「そもそもその加工方法が適切なのか?」
高速加工機の能力を最大限活かす・・・それは必要です。
高い生産性を維持できれば、収益にも繋がりますからね。
 でも現状はその高速加工が不安定な為に、不具合が多発して生産性が下がっている上、部品の損耗も激しく、消耗品の交換頻度が上がっているのではないですか?
もともとその加工方法は不安定なものでしたよね?
現に今までも、最近程頻度は高くないにしても加工不良は起きていた筈です。

 短時間に大量生産を狙うことで、生産が不安定化しているのであれば本末転倒です。
仕事の目的は大量生産ではなく工程の整流化。
であるならば、今優先すべきは生産の時間短縮ではなく生産の安定化となります。
 幸いにしてその設備は無人の夜間運転が出来る自動化ライン。
不安定な加工方法で短時間で加工しようとしてライン停止するくらいなら、朝まで掛かっても良いので、安定的な加工方法で稼働時間と稼働率を上げた方が良いんじゃないですかね?
だとすれば・・・
どうしたら良いか、何かアイデア浮かんできませんか?

 何が何でも今までの加工方法で作業し続ける必要なんてないんです。
もちろん高速加工の安定化が出来ればそれに越したことはありませんが、そちらは少々時間を掛けてでも原因を追究して、対策を講じていけばいいんですからね。。。

 

 

 今できること

 

 そういった考えに至る為に肝要なのは、「諦めないこと」です。
計画通りに生産が進まない・・・でも工数が足りないから仕方ないよね。。。
不具合が発生してしまった・・・まあ人間のやる事だし、こう忙しいと起こり得るよね。。。
そう考えだした時点で、その人はもう思考停止状態に陥ってしまうんです。

 そんな中でもやれることはあるはずですよね。
本当にやれることは全てやり尽くしたか?
考えられるあらゆる手段を以て、最善を尽くしたか?
半歩でも一歩でも、前進する努力を怠っていないか?
そういう考え方からしか、問題解決の為のアイデアなんて生まれませんよ。

 今もしその様な考え方に凝り固まっている人がいるのなら、それは直ちに改めるべきです。
そういう諦めって、嫌でも他の人に伝播してしまうものですので・・・
そして「今できること」に真剣に向き合い、解決すべき困難と闘ってください。
そうでなければ、そうしようとしている人の足を引っ張る事に成り兼ねませんからね。。。

 

 

 真剣に仕事に取り組んでいれば、日々そんな問題には直面するものです。
そりゃあもう呆れるくらいに次から次と・・・
でもそこから逃げていたって、何も解決なんてしません。
一つ一つ諦めずに、粘り強く・・・
そう立ち向かっていくしかないんです。

 そしてそれぞれの壁を乗り越えた成功体験が、次に立ちはだかる問題に向き合う勇気と力に変わるんです。
だからこそ自ら考え、やり切ることが出来る様になって欲しい・・・
 もちろんその為の援助は惜しみませんよ。
もしそんな困難に直面しているスタッフがいるなら、いつでも私のところに来てください。
何らかのアイデアや解決へのヒントは持ち合わせていると思います。
 そうやって一人一人が成長していくことが、最終的に会社の成長に直結していくんですからね。。。