ギャンブル

 

 

 私は、いわゆる「ギャンブル」といった類のものは一切やりません。
それにはいくつか理由はあります。
 一つはその昔、知り合いの人でパチンコでご飯を食べている人がいたんです。
ただその人はパチンコ屋さんの店長と組んでいて、事前に”出る”ように設定してもらった台を一日打ち、当然ながら勝つ訳ですが、そこからパチンコ屋さんの店長にいくらかキャッシュバックするという仕組みでやっていました。
何人かアルバイトも使ってやっていましたので、その額は結構なものだったと記憶しています。。。
 そりゃあそんな世界を垣間見てしまうと、興醒めしてしまいますよね。
だって普通に打っている人達、その日勝った負けたで一喜一憂している人たちが、なんだか気の毒に思えてしまうんです・・・

 それに元々の私の性格もあるかも知れません。
実は私は結構負けず嫌いなんです。
だから逆に負ける要素の多いもの、その確率の高いことは避けがちになります。
極論を言えば、勝てる勝負しかしなければ負けることは無いわけですね。
人によっては「つまらない考え方」かも知れませんが、それぐらい負けるのが嫌い・・・
 だから釣りとかにも熱中出来ないんですよね。
そのロケーションとかは嫌いじゃないんですけど。。。
だって一匹も釣れなかったら嫌じゃないですか。
”竿を伸ばせば絶対釣れる”みたいな釣り堀なら好きなんですけどね・・・

 さらに言えば、私の職業上の影響もある気がします。
だって一億数千万円もするような設備を何台も導入するんですよ?
「絶対にペイできるのか!?」
そんな確約はどこにも無いにも関わらずです(もちろん”勝つ”ための準備は徹底して行いますよ)。
言ってしまえばそれだって「ギャンブル」の側面があるんです。
こういう仕事をしていると、なかなか普段から賭け事とかをする気にならないものですよね。。。

 

 

 賭け

 

 

 日常業務の中にも、小さな”賭け”は存在します。
何かをジャッジしなければならない時、最初からその答えが明らかなことの方が少ないんですからね。
それが正しかったかどうかさえ、何年も後にしか分からないなんてことだってあるはずです。
 もちろんジャッジをする段には、裏付けとなる根拠やデータの検証はしますし、出来るだけその確率が高くなるような準備もします。
でも結局、100%こちらの狙い通りになるなんて確証はありません。
今、私はそんな賭けに打って出ている事柄が現実にあります。

 社員には、それぞれの立場に応じて会社に与えられた役割があります。
それは「代表取締役」という私の役割も含めてのことです。
そして組織はその役割によって成り立つことが前提ですので、社員がその役割(責任と言い換えても良いですが)を果たさなければ、その組織は崩壊してしまうんです。

 「マネジメントが機能していない」
そう思うことが多々ありました。
みんな忙しく、人手不足の状況でもありますので、いくつかの職務は「兼務」で回してしまっているという影響もあるのかも知れません。
ただ「兼務」については仕方ない部分もありますが、どうもそれぞれが「一つ下」の仕事をしてしまっている気がしていました。
もちろん私自身も。。。

 社長が工場長や部長の仕事をし、工場長や部長が課長の仕事をする・・・
そうすると課長がチームリーダーの仕事をしだし、チームリーダーは・・・
最悪のサイクルですね。
そんな影響からか責任の所在が曖昧になり、人によっては「人任せ」「無責任」な仕事に見えたりもしてきます。
(これは直ちに正さなければいけない・・・)

 

 そこで、私はまず自分自身から変えていこうと考えました。
それは私が
「トップマネジメントに徹する」
という事です。
 ここで言うトップマネジメントとは
・理念やビジョンを定める
・経営戦略や方針を定める
・目的や目標の明確化
・組織体制の構築
・リスク管理
などです。
そしてそれらを実行するために、今月から「幹部会」なるものを発足し、工場長や部長職までのメンバーで意思決定の場を設けることにしました。
そして毎月開催している「生産会議」と「品質会議」の場からは退くことになりました。

 そして今週、その月例二会議が開催されました。
もちろん私は欠席です。
ここには「ミドルマネジメント」の役割を期待しています。
 その役割とは
・トップの決定事項の周知
・目標達成に向けた計画の策定及び進捗管理
・業務改善
・部下の育成
・部門間の調整
・ロワーマネジメント(監督者層=チームリーダー)の指揮
等になります。
出席者は工場長、部長、課長まで(部門によってはチームリーダーも参加)の役職者。
どんな会議だったのかは、まだ詳しく聞いていません。
来週には出席者から報告を受けたり、議事録をチェックして確認したいと思います。

 ここまでを切り分けることで、「ロワーマネジメント」が機能しだすことを期待しています。
・タスク管理
・社員の直接的指導・育成
・計画・目標達成に向けた業務の遂行
課長を筆頭に、チームリーダーが主導的役割を果たしながら、強力に業務を推進していって貰いたいと思っています。

 

 

 私が月例二会議に出なくなったことが、吉と出るのか凶と出るのか・・・
こればっかりはすぐには分かりません。
これも「賭け」ですからね。。。
少し時間はかかるかも知れませんが、良いサイクルが回りだすと良いなぁ・・・

 もちろん「これではダメだ」となれば、直ちに軌道修正はするつもりです。
ただ大枠の考え方としては間違っていないと思いますので、基本線は継続する方向で進めていきたいと思います。

 自ら考え、決定し、実行し続けられる組織であって欲しい。
なかなかそうなり切れなかったのは、私の関与が強すぎたからなんじゃないか・・・
「上から言われたことだけをやっている」状態だったから、腹落ちもしないし、時が過ぎれば同じ過ちを繰り返す羽目になってしまっていたんじゃないか・・・
私なりに「自責」で考えた結果です。

 この「賭け」には勝てる算段はあるのか?
もちろんありますよ。
言っているじゃないですか、そもそも負ける確率の高い勝負はしないって・・・
私はみんななら大丈夫、みんななら出来るんだという事を、充分に知っているんですから。。。