求道者

 

 

 「その道を探求する者」
私が正に求道者といった言葉にふさわしいと思う人物の一人が、元メジャーリーガーのイチロー氏です。
残した成績もさることながら、ストイックに野球に取り組む姿勢や数々の名言から、そう感じる人は多いんじゃないでしょうか。

そんなイチローさんが先週は日本、そして今週はアメリカで殿堂入りしたというニュースがありました。
惜しくもMLB初となる野手の満票選出とはなりませんでしたが、それでもアメリカの殿堂入りは日本人初、アジア初ということですから、偉業と言っていいものだと思います。
本当に素晴らしいですね。。。

27歳でメジャーに挑戦し、いきなり新人王とMVPを受賞。
首位打者や盗塁王などのタイトルも獲得し、打率3割、200安打以上、ゴールドグラブ賞などを10年連続で達成しています。
1シーズン262安打でメジャーリーグの最多安打記録も更新し、日米通算の4,367安打は世界記録です。
(4,256安打で2位のピート・ローズ氏は「日本での安打数を合算するなら、私の高校時代の記録も合算すべきだ!」という謎理論で負け惜しみを述べていましたが。。。)
なのに満票じゃないなんて・・・

私なら投票しなかった1人(395人の内の1人!)に恨み節の一つでもぶつけてしまいそうですが、
「投票していただいた記者の方々、ありがとうございました。どうやら1人投票してくれなかった方がいるようですが、ぜひ自宅に招待して一緒にお酒を飲みたいので、名乗り出てシアトルにお越しください。」
と笑いを誘う辺りに、氏の人柄が出ているのだろうと思いました。

 

 

 足らざるを知る

  

 

 そのイチローさんは偉業達成直後、満票でなかったことに対して
「すごく良かったな・・・と思います」
とコメントしています。
続けて
「色んなことが足りない、人って。それを自分なりの完璧を追い求めて進んでいくのが人生だと思うんですよね。不完全であるというのはいいなって。生きていく上で、不完全だから進もうとできるわけで、そういうことを改めて考えさせられる。見つめ合える。そこに向き合えるというのは良かったなと思います」
と言っていたそうです。

確かに人は自分自身の足りない部分、不完全さと向き合い、それを乗り越えようとすることによって、成長することができるのだと思います。
そしてそれは、学業でもスポーツでも、仕事でも同じなんです。
だから「一流」と言われる人ほど、”楽な道”と”困難な道”があるなら、迷わず”困難な道”を選ぶのではないでしょうか。

 

 因みにこのイチローさん、日米通算4,000安打を記録した試合後には
「こういう時に思うのは、別にいい結果を生んできたことを誇れる自分ではない。誇れることがあるとすると、4,000本のヒットを打つには、僕の数字で言うと8,000回以上は悔しい思いをしてきているんですよね。それと常に、自分なりに向き合ってきたことの事実はあるので、誇れるとしたらそこじゃないかと思いますね」
と語っています。

打率3割はすごいことですが、それって実は10回の内7回は打てていないってことですよね。
その7回と向き合い、努力を続けることに意味があるということです。
そしてその裏側にあるのは、努力をする力の源泉は「10回打席に立ったら、10回全部打ちたい」という”強い思い”だということではないでしょうか。

10回打とうと願うから、打てなかった7回に向き合うことが出来るんです。
端から「3割で満足」という思考では、3割でさえ打つのは難しいことになるでしょう。
これも仕事に通ずるところがありますね。

例えば「人間だからミスはあるよね」という職場では、ミスを減らすことはできません。
ミスを0にする(10回とも打つ)のはとても難しいことで、実現不可能なことのように思えるかも知れません。
でもだから敢えてミス0(打率10割)を目指すんです。
そこに向かう強い覚悟があるから、1つのミスにも真剣に向き合うことが出来、その姿勢がミスを減らしていくことに繋がるんです。
最初から「どうせ無理なんだから・・・」なんて言っていたら、その小さな1つのミスにさえ向き合うことは出来なくなってしまいます。

 NBA(米プロバスケットボールリーグ)のレジェンドであるマイケル・ジョーダン氏も、過去のインタビューで次のように述べています。
「あなたはなぜそんなに勝負強いのですか?」
という質問に対して
「みんな僕が成功させたシュートのことだけを覚えてくれていてうれしいよ。でも残念ながら、その裏には成功した数を超える多くの失敗があるんだ。おそらくそれがあるからじゃないかな」
と答えたそうです。

成功した数よりもずっと多くの失敗がある。
しかし言い換えると、その多くの失敗による経験、そしてそれを克服する努力が成功を呼び込む力となる。
成功だけにフォーカスすると一見「天才」的に見えるスーパースターでさえ、多くの失敗を重ねながら努力をしていたんですね。
でもやる前から諦めていたら努力なんて出来ません。
恐らくジョーダン氏も、「打つシュートは全部決めてやろう」という強い思いがあったからこそ、そういった努力を続けられたんだろうと思います。

 

 

「学びて然るべき後に足らざるを知る」
これは「自ら学ぶことによって自分の知識の不十分さを知る」という意味です。
しかしこれは「知識」だけに限った話ではありません。

何かをやろうとすることで初めて、何が足りなくて、如何に自分が不完全であるかを知ることが出来るんです。
そしてそれを知ることが出来て初めて、その不足しているものと向き合い、克服するための努力が出来るのではないでしょうか。

 

どんな職業であれその仕事を生業とし、それで飯を食う(対価を貰う)のであれば、そこには高い「プロ意識」が必要です。
そしてそのプロ意識の土台には「求道者」たる姿勢、「道を極めよう」という思考が無ければなりません。
それがあれば打率10割、全てのシュートを決めるといった一見無謀にも思える目標にも、諦めず、粘り強く立ち向かうことが出来るんです。

最初から言い訳を並べたり、諦めたりしていたのでは話になりません。
私も「出来ない理由」ばかり羅列するような人間は大嫌いです。

自ら高い目標を持って物事に取り組み、失敗したらそれと真摯に向き合って乗り越えようと努力する。
それでこそプロフェッショナルであり、会社という組織もそういうプロフェッショナルな集団であるべきです。
そんなプロ集団であれば良い仕事が出来るでしょうし、そんな職場はきっと活気に満ちて生産性の高い職場であるに違いありません。

 であるならば「誰か」ではなく、まず「自分が」行動しなければなりません。
道を極めるべく、難しいことにも真剣に取り組んでみてください。

失敗してもいいんです。
諦めずに努力すれば、その失敗は必ず成長の糧になる。
それをイチローさんは証明してくれていますよね。
全員がそういうマインドで物事に取り組むことが出来れば、今まで無理だと思っていたことでさえ、乗り越えられるようになるかも知れませんよ。。。

 

 

 

 

 

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