WBC

 

 

 今回はWBC(ワールド ベースボール クラシック)について書いていきます。
昨年はサッカーのワールドカップ カタール大会で3つくらい記事を投稿させて貰いましたので、野球にも触れないわけにはいきませんからね・・・

 まずは選手の皆さん、優勝おめでとうございます!
7戦して7勝、準決勝以降は1点差と拮抗したゲームでしたが、7試合合計の総得点が56、総失点が18という数字からも、「勝つべくして勝った」という感じでした。
 これまではあまり一線級の選手が参加していなかった本場アメリカも、結構本気で勝ちに来ているメンバー構成でしたので、そのアメリカを下しての優勝ですから正真正銘の世界一ですよね。
 まあアメリカにしたら、昨季MVPのアーロン・ジャッジや剛腕ゲリット・コール、マックス・シャーザーなどが不在だったので、「もし彼らが居れば・・・」なんて思っているかもしれませんけど。。。

 そしてサッカー日本代表の時と同様に、チームの団結や規律性、マナーの良さなども話題となっていました。
ダグアウトやロッカールームの綺麗さも、再び海外では驚きを持って報じられていたみたいですよ。
そういうところも含めて、日本人としての誇りを再認識できた大会でもありました。
 国を背負って戦う代表戦です。
相当なプレシャーもあったと思いますが、そのプレーの一つ一つにたくさんの勇気や感動を貰いました。
日本代表の皆さん、本当にありがとうございました!!

 

 

 プロ意識

 

 WBCが終わってから数日が経ち、様々なコメントや裏話なんかが出て来だしました。
それらの中には、私たちの日常生活や仕事などに置き換えても活かせるような考え方などがあり、アスリートではない私たちにも成長のヒントがある様に思います。

 だって一つのことを極めた人たちですよ。
もちろん持って生まれた天賦の才は有るのでしょうが、その卓越した技術を得る為には、やはり人並外れた努力の積み重ねがあったことは想像に難くありません。
そしてその努力を支える思想や考え方は、スポーツの領域だけのものでは無いと思うんです。

 

 「医学的に折れているか折れていないかを詮索されますが、問題は痛いか痛くないか、僕がプレーできるかできないかでしょう。僕はプロですから、一般の方の感覚で考えてほしくないし、監督が診断結果だけを根拠に、なぜこんな状態で起用し続けたのかと批判されるようなことがあったら嫌です」

 1次ラウンドの韓国戦で、相手投手のけん制球に反応して帰塁した際、右手小指を負傷した源田選手のコメントです。
その試合では結局途中交代したものの、決勝ラウンドでは手袋の小指の部分を切り取り、テーピングを幾重にも巻いて太くなってしまった小指を出しながら打席に立ち、決勝のアメリカ戦でもヒットを放っていました。
通算打率は「.250」でしたが、出塁率は「.471」とチームに貢献。
 投げる方の右手ですからスローイングにも影響はありそうなものですが、その影響を全く感じさせないプレーで守備でも活躍し、WBC優勝の影の立役者となりました。

 それにしてもこの「プロ意識」、凄くないですか?
何が何でも勝つという気迫もさることながら、一方で自らのケガの状況を冷静に捉えて「100%のプレーが出来る」とした判断力と決断力。
怪我を言い訳にしない、プロとして結果は全て自らが負うという覚悟・・・
そういったものが詰まったコメントでした。

 

 私は精神論”だけ”で話す人が好きではありません。
仕事においても、気合や根性だけで解決できることは少なく、また持続性にも欠けると思っているからです。
だから私自身も、仕事の話については出来るだけ「数字」を基に、可能な限り論理的且つ根拠立てて話をする様に心がけています。
基本的には精神論だけでは何も解決しない・・・という考え方。

 でも究極に追い込まれた時、本当に大きな困難に立ち向かう時は、最終的にはその「覚悟」だったり「胆力」が事の成否の鍵を握るんだ・・・とも考えています。
そしてそれらの源泉の一つとなるのが「プロ意識」なのではないか・・・とも。

 それを生業として生きている以上、そこから逃げ出したりそれを投げ出したりすることは出来ません。
プロですからね。
ドロップアウト出来ないあれば、その困難に立ち向かい、壁を乗り越えるしか選択肢は無いんです。
その時にこの「プロ意識」が大きなエネルギーになるんですよ。

 源田選手の様に、自分の仕事に対して「僕はプロですから」と胸を張って言える人、意外と少ないんじゃないでしょうか・・・
「プロ風」な人はたくさんいますよ。
私もそれなりに人を見てきているので、少なからずそういう人も多く目にしました・・・
でも「プロ」と「プロ風」は似て非なるものです。

 例えば面倒な仕事や難しい仕事があった時、プロ風な人はそれを避けたがるんですが、プロは燃えてきちゃうんですよね。
プロは仕事が少ないと不安になってしまいますが、仕事が多いと嬉しくなっちゃう。
一方プロ風は仕事が少ない方が嬉しくて、仕事が多いと嫌になっちゃう・・・
プロは道具は大事にするけど、道具や環境には頼らない。
片やプロ風は道具を大事にしない割りに、上手くいかないと道具や環境のせいにする。
などなど。。。

 極論を言えば、「プロ」と名乗るのに、技術や経験、入社年数なんか関係ないんです。
新入社員であっても、その仕事でお金をもらうようになったその瞬間から「プロ」なんですから。。。
 それはつまりその人の仕事に対する姿勢が問われているということ。
そしてその人が自分の仕事に誇りを持てているかということ。
退路を断ち、自ら責任を負う覚悟をもって、全身全霊を掛けて仕事に取り組めているか・・・ということなんです。
それが自信となり、高いプロ意識を持てるようになるんだと思います。

 

 

 憧れと目標

 

 もう一つ、大会後に話題となったのが大谷選手の声出しです。
試合前の円陣で、毎回違う選手が円の中心で声出しをするのですが、アメリカとの決勝戦前の声出しでは大谷選手が次の様に話したそうです。

僕から1個だけ。憧れるのをやめましょう。ファーストにゴールドシュミットがいたりとか、センター見たらマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたりとか。野球やっていれば誰しもが聞いたことがあるような選手たちがいると思うんですけど、今日1日だけは、やっぱ憧れてしまったら超えられないんで。僕らは、今日、超えるために、トップになるために来たんで。今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ、行こう!!

 相手へのリスペクトも有りながら、チームを鼓舞してモチベーションも高めようとする熱意も感じる言葉です。
こんなことがサラっと言える大谷選手って、やっぱり人間性が素晴らしいんでしょうね・・・
 言っていることは尤もだし、腹落ちもします。
でもそこでもう少し考えてみたいんです。
なぜ「憧れたら越えられないのか」を。。。

 後に大谷選手は「リスペクトの形が受け身になってしまう。気持ちは負けない様にと・・・」と語っていました。
そうですね。
気持で負けてしまっていたら、そもそも勝ち目はありません。

 ではリスペクトが受け身になる・・・とはどういう事でしょう。
それは「恐れ」という言葉に言い換えられるんじゃないかと、私は思います。
(凄いピッチャーだから、打てないかも知れない)
(凄いバッターだから、抑えられないかも知れない)
恐れはそういう「諦め」に繋がってしまいます。

 今や世界的なスーパースターとなった大谷選手。
年齢的には中堅どころでも、ダルビッシュ選手と共にチームの精神的支柱であったことは間違いないはずです。
そんなチームのリーダーによる力強い言葉は、メジャーを経験していない多くの選手たちの背中を強く押したことでしょう。
「恐れるな」「諦めるな」直接そう言わなくても、それが伝わるメッセージ。

思考が変われば言葉が変わる
言葉が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる

 そんな言葉を体現しているような人物ですね。
大谷選手自身、誰も成し得ていない「二刀流」という未知の領域に一人挑戦し、圧倒的な結果を出しています。
未知の領域ですので、憧れの存在や目標とする数字の無い、孤独な戦い。
その偶像に追われる恐れや諦めを乗り越えてきたからこそ、今の大谷選手があるのでしょう。

 キャラクターは全然違いますが、ボクシングの元世界チャンピオン 辰吉丈一郎さんが、若かりし頃のインタビューで
「目標としているボクサーを教えて下さい」
という問いに
「そんなんおらんよ!そいつを目標にしてしまったら、そいつのこと越えられへんやん」
と話していたのを思い出しました。
世界のトップに立つ人の思考は、そういったものなんでしょうね。

 

 話は戻って大谷選手、この声出しでもう一つ大切なメッセージを伝えています。
それは
「僕たちは彼らを超える為、トップになる為にここに来た」
「勝つことだけを考えよう!」
という言葉です。
目的を明確化し、リーダーとしてチームに再認識させようとしています。
恐れたり諦めたりする必要はない、共通のゴールに向かって、それぞれがやれること、やるべきことに集中しよう。
プレーだけではなく、その言葉や存在でチームを牽引する理想的なリーダー像ですね。

 日々の業務の中でも、様々な課題や困難な状況はあるはずです。
そんな時、最初から諦めたり言い訳ばかりしていませんか?
あなたがリーダー的な立場だった場合、目的を明確化し、その言動でチームをゴールへ向かって力強く牽引し、自ら闘う姿勢を示すことが出来ているでしょうか?

 それが出来た時、そのチームは個の能力の合計値では成し得ないシナジーを生み出し、大きな成果を上げることが出来るのだと思います。
今回の日本代表の様に・・・
私たちもそんな風になれると良いですね。。。

 

 

 という事で、今回はWBCに見た「プロ意識」と「リーダー像」についてでした。
プレーももちろん素晴らしかったんですが、私はどうしても仕事目線で物事を見てしまうんですよね・・・
でも一流のアスリートの方たちからも、やっぱり学びはあります。
その言動や考え方は、私たちの仕事にも共通することはありますからね。

 感度を高めてアンテナを張っていれば、何か感じることは出来るはずです。
そういったものからヒントを得て、変えるべきは変え、少しずつでも成長していけたら良いな。。。

 

 さて、昨年このブログの閲覧数第一位は、ダントツでサッカー ワールドカップの記事でした。
不思議ですけど、事実なんですよね・・・
ということは、今回も!?
すごい閲覧数を記録しちゃうかも・・・
ってそんなわけないか。。。