ディール

 

 

 「トランプ関税」が世界を揺るがしています。
今週には我が国への追加関税を25%にするという話も出ていましたね。
言っていることもやっていることも無茶苦茶だ・・・
トランプ氏のことをそう評する人も多いようです。

ビジネスマンとして成功したトランプ氏の「ディール外交」。
自国の利益を最大化する為の取り引きや条件闘争を、彼は「ビジネス」と同じ戦略で行っているように見えます。
もうそこは既に彼の「土俵」なんですよね。
それこそ破産なども経験した百戦錬磨のビジネスマンの土俵に、温室育ちの日本の政治家が上がったところで勝負になんてなるはずありません。
ましてや素人集団の様な今の日本政府では太刀打ち出来るわけないんです。

そんな中、石破氏はどこか地方の選挙演説で関税交渉を巡って「なめられてたまるか!!」なんて吠えていたとのこと・・・
はぁ・・・
散々逃げ回っておいてコレですからね。。。
それなら自分でアメリカに行って、本人に直接言ってこいよって話です。

交渉には「術」があります。
もちろんその内容や相手との関係性、それぞれの立場や環境といった様々な要素によってその術は変わりますが、それを全く持たないで交渉に挑むのは自殺行為です。
事前の周到な準備と戦術が無ければ、そもそも勝負にもなりませんよ。

 

 ”本職”の交渉術

 

 

 トランプ氏の交渉術を「ヤクザみたいだ・・・」なんて言っている人がいました。
ああ、確かにそれはある意味当たっているかも知れません。
彼ら本職が使う交渉術は実に巧妙で、如何に黒いものを白とするか、2割の道理で相手を捻じ伏せるか・・・みたいなところがありますからね。

でもそれは意外と心理学的にも理に適っており、もちろん暴力的なことはダメにしても、その術はビジネスの場面でも活かせる部分はあると思うんです。
利害対立する相手との商談、部下に対する指導、他部署との折衝など、困難な問題に対して如何に相手の譲歩を引き出して合意を得るのか・・・
如何にしてこちらに有利な条件を相手に呑ませるのか・・・
知っておいて損はないですよね。。。

 

ドア イン ザ フェイス

 

これは「譲歩的依頼法」というテクニックのことです。
最初に無理難題を要求し、最終的に通したい要求を呑ませる為に徐々に要求のハードルを下げていく手法です。
トランプ氏の関税交渉の入りもこんな感じですよね。
結果的にトランプ氏が日和って条件を下げている様にも見えますが、そもそもそこが彼の「本来通したかった要求」だと言えます。

― 初めて入った飲み屋
ビール数本飲んで店を出ようとすると・・・
「お会計 60万円になります」
「えぇぇ!?」
「いえ、これが正規料金です!」
「そんなに払えませんよ・・・」
「じゃあ半額の30万円にまけといたるわ!」
「ありがとうございますぅ・・・」
みたいな感じですね。

大きな要求の後には小さな要求を承諾し易くなるということです。

 

フット イン ザ ドア

 

これは「段階的要請法」というテクニック。
セールスマンが、ドアを閉められないように足をドアの隙間に突っ込む様子が由来とのこと。
最初に小さな要求を承諾させ、段階的に大きな要求を呑ませていく手法です。

これは心理学で言うところの「一貫性の原理」というものを利用したテクニックです。
この一貫性の原理とは、「一度ある立場を取ったらその立場を変えたくない」「簡単に立場を変える人間だと思われたくない」という心理のこと。

「名刺だけでも・・・」
「パンフレットだけでも置かせてください」
「ご挨拶だけさせてもらえませんか?」
「5分だけお話させて頂けないでしょうか」
「今契約していただけるとお得な特典が・・・」
なんて具合ですね。

「0」から「1」にすることさえ出来れば、それを「5」・・・「10」・・・「100」とするのは容易いもの。
10,000円を払わせる為に、まず100円払わせるわけです。
最初から10,000円を払わせるより簡単ですよね。
「みかじめ料」なんかもそんな感じなんだそうですよ。

 

 

 それ以外にも、
・ 待ち合わせの時間より早く行く(遅れていって最初から”不利な立場”となるのを避ける)
・ 相手の正面に座らない(相手に威圧感を与えない)
・ 自らしゃべり過ぎない(寧ろ聞き役に回って、相手の矛盾を突いたり言質を取ったりする為)
・ 飴と鞭を使い分ける(緩急を付けた言い回しで相手の感情を揺さぶる)
・ 逃げ道を作って追い込む(自分に有利な方向に誘導する)
などなど、多くの「術」があります。

それらを知っていれば、難しい交渉も有利に運べるようになるかも知れません。
何も「相手に条件を呑ませる」場面だけに限った話ではないですよ。
相手に共感を得て貰ったり、説得して納得して貰う必要がある時なんかにも応用が利くものです。

「人を動かす為には、まず相手の心を動かさなければならない」
でも人の心なんてそう簡単には動かないものですよね。
そんな時、それを手助けしてくれるのがこれらのテクニックです。
心の隅にでも留めておくと、いつか、何かの役に立つかも知れませんよ。。。