北風とカメと桃太郎…

 

 

 子供の頃には誰もが聞いたことのある童話や昔話。
大人になって思い出すと、「あれ?結末ってどんなだっけ!?」なんてうろ覚えだったりするものもあります。
よくよく考えてみると酷く残酷だなぁ・・・なんてものもあれば、意外と悲しいバッドエンドで終わってしまう物語もあったり・・・

 中には結末が幾通りもあるものもあったりします。
例えば「アリとキリギリス」。
 冬に備えて夏からせっせと働くアリ、その傍らでバイオリンを弾きながら歌って過ごすキリギリス。
ある日キリギリスは「そんなに働かなくても食料はたくさんあるじゃないか」とアリをからかいます。
アリは「今はたくさんあるけど、冬になると食べ物は無くなってしまうよ」と答えました。
「まだ夏は始まったばかり、楽しく歌って過ごせばいいのに」
そう言ってキリギリスは遊んで暮らします。

秋が過ぎ、冬がやってきました。
キリギリスは食料を探しますが、周りには何もありません・・・
お腹が空いて困り果てたキリギリスは、アリが食べ物を集めていたことを思い出し、少し分けて貰おうとアリの家を訪ねます。。。
この後です・・・

① 夏にからかってしまったので、断られてしまうと思っていたキリギリス。
  でもアリは「どうぞ食べて下さい。その代わりにキリギリスさんのバイオリンを聞かせて下さいな」
  キリギリスは涙を流し、張り切ってバイオリンを弾きました。
  そして次の夏からは、真面目に働く様になったそうです。。。
 これが良く知られているお話しですね。
でも実は、これ以外のストーリーもあるんだそうです。

② キリギリスが「食料を分けて欲しい」とアリの家を訪ねると、
  「夏に歌って過ごしていたんだから、冬は踊って過ごせばいいんじゃない?」
  そうアリは言い放ち、扉を閉めてキリギリスを追い返してしまいます。
  そしてキリギリスはアリの家の前で凍え死んでしまったそうです・・・
 アリさん、結構根に持つタイプみたいですね。。。
でもさらにもう一つ、ちょっと違ったシナリオもあるんです。

③ 食べ物が無くて困っているキリギリスに、
  「夏の間に歌って過ごしていたんだから、冬も歌っていれば良いじゃないか」とアリは言います。
  するとキリギリスはこう答えます。
  「もう歌うべき歌は全て歌い尽くしてしまった。君は僕の亡骸を食べて生き延びればいいさ・・」
  後先考えずに遊んでいた様に見えたキリギリスは、実はすべてを見据えた上で、生きている時間を命がけで楽しんでいたのでした。
 んんん・・・これはこれでなかなかの結末ですね。。。

①は「困った人を助けてあげられるような、優しい人になるべき」
②は「後先を考えて行動しないと、後で困ったことになってしまう」
③は「人によって『幸せ』の尺度はそれぞれ違うものである」
角度は違いますが、童話や昔話には様々な「教訓」があるんですね。。。

 

 桃太郎

 

 

 私たちが知る最もメジャーな昔話の一つである「桃太郎」。
桃から生まれた桃太郎が、猿、犬、雉(鳥)と共に鬼ヶ島へ行って鬼退治をする物語です。
ではこの物語からはどんな教訓が得られるのでしょう・・・

 勧善懲悪?勇気をもって立ち向かうこと?仲間と協力すること?
もちろんそれらも大切なメッセージには違いありません。
子供達に説くのであれば、きっとそれで十分だと思います。
 でも私たち大人は、この物語をもう一歩踏み込んだ解釈で教訓を汲み取る事が出来る気がするんですよね。
ちょっと違った角度から考えることで。。。

 

 結論から言うと、私はこの物語には「チームビルディング」「リーダーの取るべき行動」などのヒントが隠されていると思っています。
考えるべきは、「なぜ猿、犬、雉は、恐ろしい鬼たちのいる鬼ヶ島へ行く気になったのか」です。
大人なら思うはずですよね・・・たかだか数個の黍団子に釣られて、そんな恐ろしい所へ行って命がけで戦うか?って。。。

 そこでポイントとなるのは「利他の精神」と「共感」「ビジョン」です。
まず桃太郎が自ら行動を起こしたのは、地位や名誉、名声やお金(宝)などの利己的な考えや計算に基づくものではありませんでした。
偏に「鬼たちの悪事に困っている村人を助けたい」という思いからの行動です。
自らの損得だけで動く人間だったら、命がけで行動を共にしようなんて誰も思わないですよね。。。
その利他の精神に共感した仲間だったからこそ、共に困難に立ち向かおうとしてくれたんではないでしょうか。
 そしてそこに明確なビジョンがあって、それに賛同した仲間たちだから助けてくれた・・・そう考えれば猿たちが協力してくれたことも納得できます。

 さらにもう一つのポイントは、「まずリーダーが率先して動く」ということ。
例えば桃太郎が旅立つ前に、自分の村で仲間を募っていたら・・・果たして行動を共にする仲間は得られたでしょうか?
私はその可能性は低いと思います。
だって、誰だってそんな怖い所に行きたくないですよね?
 桃太郎はまず自分一人で立ち上がり、鬼ヶ島へ向かう道中で仲間を得ています。
恐らく猿たちに出会わなくても、一人で行ったに違いありません。
大事なのはその「覚悟」なんですよ。
猿たちは、桃太郎にその覚悟を見たから、共に戦おうと思うことが出来たんだと思うんです。

 行動を起こす前から「あーでもない、こーでもない」と御託を並べるだけのリーダーになんて、誰も付いていかなくなるものですからね。。。
こんな昔話からも、ビジネスに繋がる教訓は得ることが出来るんです。

 

 

 ウサギとカメ

 

 

 ウサギとカメの話にも、ビジネスのヒントが隠されています。

 山の頂まで競争する事になったウサギとカメ。
当然ウサギの方が走るのは早いので、競争しだした途端大差が出来てしまいます。
ウサギはカメを見て勝利を確信し、途中で休憩して眠ってしまいました。
 ウサギが目を覚ました頃には、休まず走り続けたカメはもう山の頂の手前。
必死に追いかけるも及ばず、ウサギは競争に負けてしまいました・・・

 これから何を汲み取るべきか・・・
油断大敵?コツコツ頑張ることの大切さ?
もちろんそれらも大事なことです。
ただビジネスの場面に置き換えて考えると、別の大事なことが見えてくるんです。

 ポイントは、それぞれが「何を見ていたか」です。
なぜウサギは眠り込んでしまうほど休憩できたのか、なぜカメは大差をつけられた後も走り続けられたのか・・・
 その答えは、「見ているものが違ったから」だと言えます。
その時、ウサギはカメを見ていました。
だから油断して眠ってしまったんです。
一方、カメが見ていたのは・・・ウサギではなくゴールを見ていたんです。
だから一目散にゴール目掛けて走り続けることが出来たんです。

 私はよく「リーダーはゴールを定めて旗を立てろ」という様なことを口にします。
脇目も振らずに頑張る為には、頑張る人たちに「ゴールを見せる」ことが必要だと考えているからです。
そして一度旗を立てたら、あとはそこに向かって走り続ければ良いんです。

 言い訳を考えたり、逃げ道を探したりする必要はありません。
だってカメがもし「どうせ勝てるわけないじゃん」「無理に決まってるよ・・・」なんて言っていたなら、ウサギに勝てなかったんじゃないでしょうか。。。
最初からそんなこと言ってたら、走り続けられなくなってしまうものですよね。
 仕事でもそれは同じです。
何を見て、どこを目指すか。
それが決まれば、それぞれに目標を置いて頑張るだけです。
結果は自ずと付いてくるものだと思いますよ。

 

 
 北風と太陽

 

 

 力比べをしようとする北風と太陽。
ある時、旅人の上着を脱がせられるか・・・という勝負をすることになります。
北風は上着を吹き飛ばそうと力いっぱい風を吹かせますが、寒さを嫌がった旅人は上着をしっかりと押さえてしまい脱がせることが出来ません。
一方の太陽は旅人に燦々と日を照らします。
すると旅人は暑さに耐えられず、上着を脱いでしまいました。。。

 

 これ、正に今私が取り組んでいることのヒントになっています。
ポイントは「自発」。
今まで私は、「こうすべきだ」「こうあって欲しい」という事について、出来るだけの説明を尽くしたり、時に手本を見せるなどして、なんとかその対象を『変えよう』『動かそう』としてきました。
でもそれじゃあなかなか上手くいかないものなんですよね・・・
 何がダメなのか・・・
私なりに考えた結果、「自らそう考えられる環境」「そうせざるを得ない状態」にすべきだという考えに辿り着きました。

 納得感の無い「やらされる仕事」ではダメなんです。
本質的に腹落ちしていないから、徹底できないし続かない・・・
問題があったとしても、言われたことしかやれない・・・

 自発的に行動し、問題があれば自浄できるチームであって欲しい。
その為には、「北風」ではなく「太陽」で在るべきなんだと考え直しました。
 自ら上着を脱ぎたくなる状態にし、自らの意思で上着を脱がせる。
なかなか難しいですが、少しずつ良くなってきているという様な話も聞こえてきます。
もう少し続けて、「在るべき姿」に近づいていけるといいなぁ。。。

 

 

 

 

 

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