諸刃の剣

 

 

 一昨日の夕方、自宅隔離中の私の携帯に連絡が入りました。
内容は「雷が近くに落ちたみたいで、機械が止まっちゃっています!」との一報。
落雷の影響で一瞬停電したらしく、運転中の機械が止まってしまったり、ネットワークが不通になってしまったり・・・
 無停電装置がついているシステムは問題ありませんでしたが、聞けば今までにない位にいろいろと支障が出ている様子です。
(なんで俺が居ない時に限ってこんなことが起きるかなぁ・・・)
まあ私が居たところで、どうにかなっていたってこともないんですけどね。。。

 この前、某携帯会社が大規模なシステム障害を起こしていましたね。
いろいろと便利になってきた世の中ですが、些細なことがきっかけでも大混乱に陥ってしまうという事を、その時私たちは目の当たりにしました。

 かく言う私たち”ものづくり”の現場も同じなんですよね。
今の製造現場は至る所がデジタライズされ、張り巡らされたネットワークによってどんどんICT化が進んでいます。
普段はその”光”の部分である「便利さ」を存分に享受しながら仕事をしているわけですが、こういう局面ではその”影”の部分である「不便さ」を痛感してしまうんです。。。

 

 

 マシンストップ

 

 落雷の影響で、稼働中だった機械が止まってしまいました・・・
これまでも、極々稀にですがそんなことはあったんです。
ただ今までは電源を落として再起動すれば問題なく使えていたんですけど、今回は部品を交換したりしないと復旧できないような機械もありそうだとか・・・
もう本当に困っちゃいますよね。。。

 今の機械は、一昔前の機械に比べて自動化や高速化が急速に進んでいます。
それはつまり稼働時間の長時間化、時間単位での生産量の増加を意味します。
ということは、このようにマシンストップしてしまえば、喪失する生産の「時間」と「量」も増加する事になるんです。

 例えば、今までは1日8時間の稼働で100ヶ生産していたところ、最近の機械では1日16時間稼働で400ヶ生産できるようになっていたとします。
そうすると1日機械が止まってしまった場合、従来であれば-8時間の損失で済んでいたところ、今では-16時間の生産時間の損失を被ることになる訳です。
同じように1時間機械が停止すれば、従来は-12.5ヶ(100ヶ ÷ 8h)の損害ですが、今だと-25ヶ(400ヶ ÷ 16h)の損害となります。
生産効率が高まっている分、マシンストップによる損失額も増加してしまうという事ですね。。。

 もちろんその「高効率生産」を前提として、日々の生産計画も立案している訳です。
という事は、そのマシンストップによって計画が乱れてしまった工程では、生産挽回に向けてまた相当な労力を費やさなければならなくなってしまいます。
 だから日常点検や定期点検でもって「予防保全」を図り、「如何にマシンストップを回避するか」という事に注力していくんです。
でも今回の様な「落雷」なんてのは、どうしたらいいんですかね・・・
なにか対策できるものなのでしょうか。。。

 

 

 ネットワーク障害

 

 製造の各職場では、タブレットを使って工程管理をしています。
「今日やるべき仕事」の一覧に対して、バーコードリーダーを使って「着手」と「完了」を入力して消し込んでいきます。
タブレットで図面を見たりも出来ますが、主たる目的はこの「作業進捗の管理」の為です。

 登録された進捗データは直ちに生産管理システムに反映され、現場へ行かずとも「いつ」「誰が」「何の」作業をしているのかが一目瞭然となります。
多品種少量生産ですので、品種が多い分その管理をするのは大変なんですよね・・・

 もちろん着手と完了のデータを取る訳ですから、製品1ヶ当たりの作業時間の実績も全て残ります。
これも実はすごく大事なポイントなんです。
例えば何月何日何時何分、誰が何を何個、どれだけの時間かけて作ったのか・・・全てのログが残っているんですよ。
これによって

  • トレサビリティ(生産履歴)の確保による品質保証
  • 作業者単位での生産実績に基づいた能力評価
  • 各部門、各作業者ごとの目標管理
  • 実際の作業時間から算出することで見積もり値を適正化
  • 製品単位の生産実績から標準作業時間を設定
  • 日当たりの生産負荷の可視化と上限設定

これらが可能になる訳です。

 ところがその日の落雷によって、2つある工場の内、溶接工場の方でWi-Fiに不具合が生じてしまいました・・・
原因はまだ不明ですが、恐らくアクセスポイントのルーター本体か、そのルーターに給電しているPoEハブの不具合かと思われます。
これまた結構大変です。
 LANケーブルで繋がっている有線のネットワークは全く問題ないのですが、Wi-Fiでタブレットと繋いでいる工程管理システムと勤怠管理システムが使えなくなってしまっています。
機器の調達の関係で、今現在もまだ使えない状態・・・
一応月曜日には復旧できる見込みではありますが、それまでみんなには不便をかけることになってしまいます。。。

 

 

 それまで当たり前だったものが使えなくなってしまうと、想像以上に不便に感じてしまうものです。
「便利」に利用していたものであればあるほど、その前までは無くて当たり前だったものでも「不便」に思いますよね。
故に「便利」と「不便」は表裏一体。
それは紙一重でしかなく、些細なことで酷くストレスを抱える事になってしまいます。

 だからこそ、そうならない為の準備を日頃から徹底しておかなければなりません。
今回の件を踏まえ、今一度その辺りを再点検してみる必要を強く感じました。
 比較的早い段階で、同業他社に先んじて導入してきた様々なシステム。
言うなればこれも当社の「武器」ですから、より強靭な土台の上で運用していかないと意味がありません。
そうでないと、折角のこの武器も『諸刃の剣』になってしまいますからね。。。

 

 

 

 

 

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