
最近いろいろなモノの値上がりがニュースになっていますね。
先日はカップヌードルも値上げだなんて話がありました。。。
もちろん食品や日用品に限らず、あらゆるモノが値上がりしていっている傾向のようです。
ガソリンなんかも凄いですよね・・・
当然ながら世の中がそういった状況ですから、私たち製造業者も同じように物価高騰の波に揉まれまくっています。
それは大企業であれ中小零細企業であれ同じこと。
一部の供給不足に陥っている副資材(電子部品)なんか、平時の10倍以上の金額で取り引きされているそうです。
とはいえモノが無ければ作れませんから・・・
「いくらでも良いから持ってきて!!」
買う方も背に腹は代えられませんので、それでも売買は成立してしまうんですね。。。
見積もり
そんな状況ですので、最近の私の仕事と言えば「見積もり」ばかりです。
製造原価が急激に上がってしまっているので、今まで継続してきた仕事でも「適正価格」への見直しをしていかなければなりませんからね。
その中でも特に上昇著しいのが「原材料費」です(それ以外も軒並み上昇傾向ですが・・・)。
私たちが主に使う一般的な鉄板だって、一年前の2倍の価格になってしまっています・・・
例えばそれまで1,000円で販売していた商品の原材料費が300円だったとします。
この場合、残りの700円で加工費や管理費を賄って、ある程度の利益も得ていた計算になります。
しかしこの材料費が2倍、つまり600円になってしまうと、そんなのもう成り立つはずがありません。
だってそれまで700円でやっていたことを、400円でやらなければいけないという事ですから・・・
もちろんそれまでがすごく不効率でムダばかりの製造過程であったのであれば、ある程度は効率化やムダ取りで圧縮できる”代”もあるのかも知れません。
でも実際にはそんなのほんの僅かですよ。。。
そうじゃなかったら「今まで何やってきたの?」って話じゃないですか。
それにしても点数が多くて大変です・・・
どんぶり勘定なんかできませんし、実績のある商品であれば尚更「根拠」のある数字でなければなりません。
ついでに言うと、見積もりも提出して終わりじゃないですからね。。。
パワーバランス

例えば新しくラーメン屋さんが出来たとします。
手間暇かけて仕込み、厳選したこだわりの食材で作った最高のラーメン。
『 特製ラーメン ・・・ 一杯5,000円 』
ひょっとしたら立地によっては意外と成功できるビジネスモデルかも知れませんが、大半の方は「食べに行こう!」とはなりませんよね。
どんなに美味しかったとしてもです。。。
だって普通に考えたら、高過ぎますよね?
モノを「売る値段」は売り手だけが決められます。
これは揺るがない事実です。
そして、それはいくらでも良いんです。
単純に原価を積み上げて利益を好きなだけ乗せるだけ。
でもそれでは売れないんですよね。
「ラーメンなら1,000円までかな・・・」
お客さん(買い手)は、その物(サービスも含めて)の価格に妥当性を感じなければ、対価を支払う気にはなりませんから。
つまりモノを「買う値段」は買い手だけが決められるということです。
売り値が不当だと思えば、「買わない」という選択をするだけ。
言い換えると、同じような意味の「価格(プライス)」についても、「コスト」と「バリュー」では意味が違うという事です。
売り手はコストからプライスを決定しますが、買い手のプライスはバリューによって決められるということですね。
ただ製造業の世界では、なかなかそう簡単にはいかない部分があるんです。。。
軒先に『 特製ラーメン ・・・ 一杯5,000円 』と張り紙がしてあるラーメン屋さんに入ってきて、
店主に対し、
「私はラーメン一杯には900円までしか払えないから、900円にして下さい!」
と言う感じ。。。
気の短い店主であれば、
「だったら他所の店に行け!!」
となるシチュエーションですね。。。
調達業務を生業としている以上、その人に求められるミッションは「1円でも安く買う事」ですから、そう言いたくなる気持ちも分からないではありません。
でも私たちも製造を生業としている身ですから、法外な値段を付けて利益を貪ることなんてしませんから・・・
それでも製造業には「買い手」が「売り値」を決めようとする風潮があるんです。
繰り返しになりますが、買い手が決めることができるのは「買い値」だけだと私は思っているんですけどね。。。
ただ、最近その辺りに少し変化が出てきているような感じがしています。
先述の素材(原材料)の業界では、
「この値段でしか売れない」
「この値段でダメなら他で買ってください」
と言う様な話が飛び交っているそうです(当社の仕入れ先はそんな横柄な言い方はしませんよ)。
この点については、私はある程度は良いことなんじゃないかって思っています。
一方的に偏っていた「パワーバランス」の均衡が取れるようになってきているような感じ・・・
この流れが経済の上流から下流まで一気に浸透すれば、きっとこの国の経済的にも良い循環に繋がっていくんじゃないかなって思います。
非価格領域
販売価格の適正化は、「質」や「サービス」の向上にも繋がるものだと考えます。
逆に言うと、不適切な販売価格では「質」や「サービス」が低下してしまうんです。
そうなると更なる価格低下によって「安売り合戦」に陥り、自分で自分の首を絞めてしまうことに・・・
それでは会社も社員も疲弊していってしまいますよね。。。
だからこそ、私が今最優先に行っているので「見積り」による販売価格の適正化なんです。
そしてその上で「非価格」の領域で勝負したい。
それが会社の成長や社員の幸福、そして取引先への貢献にも繋がっていくものだと信じています。
まだまだ先は長いですが、引き続き頑張ってやっていきたいと思います!!