
「詳しくはまた次の機会に書きますね」なんてことが時々あります。
今回は以前そういった感じで少し触れたことがある、外国人技能実習生についてです。
といっても当社の技能実習生個々のことではなく、「外国人技能実習制度について」って感じでしょうか・・・
先に言っておきますが、批判的な内容を書いてしまったりするかもしれません。
ただしそれはあくまでも私個人の主観であり、上手く運用されている企業さんもそれなりにある事もまた事実です。
さらに誤解しないでおいて欲しいのは、私は「外国人だから・・」みたいな差別的思想の持ち主でもありません。
そもそも外国人技能実習制度って??
簡単に言うと「経済発展に資する技術や知識を途上国へ移転させることを目的とした国際貢献活動」です。
1993年に導入された「技能実習」という在留資格で在留する外国人が、報酬を伴う技能実習を企業で行う制度のこと。
基本の実習期間は3年(厳密には1年目と2,3年目は別物)ですが、数年前に都合5年まで延長できるように法改正されています。
また実習生の受け入れ人数は、その企業の常勤従業員数(雇用保険被保険者数)によって制限があります。
企業単独型と団体管理型で受け入れ可能人数が違いますが、当社の場合は3名/年が定員です。
きちんと管理して指導・教育しなければならないからというのは建前で、実際には日本人の雇用を守ろうというのが本音なんだと思いますが。。
実習生の本国にある「送り出し機関」で、実習生たちは数か月間に渡り日本語などを勉強します。
そこに入った時か、或いは実習先が決まった際に、実習生らは「保証金」的なものを支払っているようです。
しかもまあまあな金額(百万円以上とか)。
失踪とか犯罪行為の”抑止”という意図なんでしょうが、確かそれ自体が法的に禁止されていたはずなんですけどね・・・
企業は日本側の「受け入れ機関(組合)」と契約し、提携している送り出し機関から実習生を受け入れるという仕組みです。
もう止めます
10年ほど前から、当社はベトナム人技能実習生の受け入れを始めました。
最初の頃は1年半ごとに3名ずつ、途中から毎年2名ずつを受け入れていきました。
今も社内で実習中なのは5,6期生の4名。
この制度導入のきっかけは、将来的にベトナムで当社の現地法人を立ち上げ、日本で技能実習を終えて帰国した実習生を現地で再雇用し、日本での実習を通じて身に付けた技術や知識を活かして現地生産をしていくことができれば・・・と考えたのが発端でした。
実際に私が2度目の訪越をした際は、一人で現地の工業団地を見学しに行ったり、現地の板金業者を数社回って見積もりを取ったりしていたぐらいですから、結構本気で考えてもいたんです・・
だからそもそも「安い労働力の確保」とか「不足している工数の穴埋め」という、よくある実習生受け入れ企業の持つ思惑とは別の意図を持ってスタートしました(我々の考えていた意図こそが本来の趣旨であるはずですが・・)。
最終的には、様々なリスクも含めて検討した結果、その計画を実行に移すには至りませんでした。
現地法人の設立計画を中止した後も、しばらく実習生の受け入れは継続していました。
数えてみたら、今いる実習生も含めると合計15名。
途中、倒産した同業他社の実習生(中国籍)も転籍という形で受け入れましたので、それも合わせると17名にもなります。
しかし一昨年の秋、当社は「今後、外国人技能実習生の受け入れを停止する」という方針を固めました。
それ以降、新規の実習生の受け入れは行っていません。
5期生は今夏、6期生は来夏に実習修了となりますので、それで当社から外国人技能実習生はいなくなります。
なぜ受け入れを止めるのか
これについてはいろいろありますので、一言で言えば「総合的な判断」ということになります。
受け入れ機関に対する不満もありますし、JITCO(公益財団法人 国際人材協力機構)の無作法な対応に辟易としているということもあります。
また実習生の適切な監理に掛かる膨大な管理工数や費用、労務管理業務を削減したい思いや、長期雇用を前提とした正社員登用を増やしていこうという会社方針もあります。
最近はありませんが、失踪や犯罪行為もありましたしね・・・
そもそも、この「外国人技能実習制度」には大きな矛盾があると私は考えています。
技能実習≠出稼ぎ
技能実習生の人選では、必ず面接を行います。
最近はSkypeなどのリモートでやることが多いです。
そこで私は「なぜ日本での技能実習を希望しているのですか?」という質問を必ずします。
「日本で技能を習得して、帰国後の仕事に活かしたいです!」
「もっと日本語を勉強して、日系企業で働きたいです!」
面接するほぼ全員がこう答えます(まるで「こう答えなさい!!」と教えられている様に・・・)。
しかし実際に配属された後や、帰国間近に本人たちに同じ質問をしてみると、
「もっとお金を稼ぎたい」
という回答・・・
いや、それはそれでいいんですよ・・否定する気はありません。
ただ「もっと残業したい!」という実習生の声を聞いた受け入れ機関の担当が、残業を抑えようとしている私たちに対して、
「給与台帳やタイムカードを偽造してください」
「どの企業でもやっていることですよ!」
と常軌を逸するセリフを言ってきたのには驚きました。
当然お断りしましたが、ちょっとあり得ないですよね・・・
何の為の制度なんだか・・・
理念
そもそも技能実習制度は、先述の通り「途上国の経済発展の為の”人づくり”に貢献する国際協力」という崇高な思想の下にあり、
- 技能等の適正な修得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行わなければならないこと、
- 労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと
という理念の基に行われる事業です。
にも関わらず、特に「2」の理念は遠く置き去りにされている気がするんです。
「労働力の調整」としてはいけないはずの制度を、もう国自体が「人手不足解消」の為に法改正までしちゃうんですから・・・
そうでないというなら、逆に「なぜ5年に延長する必要があるのか」に合理的な説明ができる人いるんでしょうか?
私の周りにも「もう実習生がいないと仕事が回らない」という会社さんがあります。
私は当社をそうはしたくなかった・・・
だから当社の実習生は基本原則通り、「3年で修了」です。
本人たちは希望するかもしれませんが、延長することはありません。
誰のせい?
帰国した実習生の内、3年の実習期間を満了したのは13人中6人だけです。
半分にも満たない・・・
当然関係法令は遵守していますし、実習生にだけ過重労働を課すようなことはあり得ません。
逆に私は、当社のフラットな風土が原因かな・・と勝手に理解しています。
実習生以外にも外国人の従業員はいますが、当社には「外国人だから許される」ことも無ければ、「日本人だから許される」こともありません。
外国人であっても、能力と実績があれば職長にもなれる企業風土です。
しかし失踪や犯罪行為があると、なぜか会社が追及を受けるんですよね。
正直意味が分かりません。
それって、ただ「誰かのせい」にして不可解なことを理解しようとしたり、丸く収めたいだけなんじゃないですかね・・・
失踪
技能実習を満了できなかった7人の内、3人は突然の失踪です。
2人は何年か後に隣県で発見されました。
残りの実習期間が1年を切った辺りでの失踪。
保証金の準備に身内から借りた借金を返す為に、もっと日本で稼ぎたかったようです・・・
そういう実習生達をターゲットにしたブローカーも実在するみたいですね。
残りの一人は、同居する実習生のキャッシュカードを盗み、全額を下ろして着服した後に帰国していました。
なんとそのお金で、日本で出会った実習生のベトナム人女性に貢いでいたらしいです(バイクとかパソコンを買ってあげてたとか・・)。
被害者の実習生と警察に行きましたが、結局打つ手なし。
後日聞いた話では、ベトナムで被害者本人が犯人を捕まえたらしいですけど。。
素行が悪く、こちらから実習を打ち切ったパターンは2名。
頻繁に機械の裏で座ってサボっていた中国人実習生(転籍組)や、嘘ばかりついて業務命令違反を繰り返すベトナム人実習生は、再三の指導にも改善が見られなかったこともあり、こちらから実習を打ち切って帰国させました。
先ほども言った通り、当社は「外国人だから許される」なんてことはありませんからね。
それ以外は、「ケガをした」と言って無断でベトナムに帰国して消息不明になったり、「副業(ネットビジネス)が軌道に乗ってきたから帰国します」と言って勝手に実習を打ち切って帰国したり・・・
正直そこまで管理しきれませんよ・・・
その上「会社の責任」などと言われても、「知らんがな!!」って感じです。
JITCO
そういうことがあるとJITCOが監査だとかで出張ってきます。
当然当社にもやってきました。
彼らの言い分は「会社に問題があるからだ!!」です。
有休を使わせなかったんじゃないかとか、実習生達だけ酷い扱いをしていたんだろうとか・・・
最初は黙って先方の言い分を聞いていましたが、事実無根にも関わらずあまりの良い様に私もだんだん腹が立ってきて、
「お前ふざけんなゴルァァ!!」
と、キレて怒鳴ってしまいました・・・
2人の内の1人(いい歳のオジサン)は私の「お前」という言葉に激高し、顔を真っ赤にして言い返してきます。
「自分は労働基準監督署の人間だからな!!!」
「うるせぇ!てめぇコノヤロウ!!」
今にも手を出してしまいそうな私に、隣に座っていた受け入れ機関の担当者は黙って震えているだけ・・・
専務と総務のスタッフが大声に驚いて部屋に飛び込んでこなければ、ちょっとしたコトになっていたかも知れません。。。
これは後に冷静になった私が、「結局この”理念を見失った技能実習制度”は、途上国の発展どころか受け入れ企業や実習生自身の為にならない」と考えるに至る出来事でした。
この制度はJITCOやそれぞれの送り出し/受け入れ機関が、企業や実習生から「管理費」とか「賛助会費」、「保証金」などの名分でお金を巻き上げて、搾取する為のものであると結論付けています。
因みにその後、労働基準監督署が労働災害も発生していないのに、粗捜しでもするかの様に頻繁に来るようになった事も、事実として付け加えておきます。。。
方向転換のタイミング
当社の方も、受け入れを始めた時に考えていた現地法人設立の計画が無くなったのにも関わらず、受け入れを続けてしまったことに問題はあると思っています。
いろいろ検討した結果決定した「技能実習生の受け入れ停止」については、今も間違っていないと胸を張って言えます。
そして今残っている5,6期生たちには、最後まできちんと技術を身に付けさせ、気持ち良く送り出してあげたいという気持ちに変わりはありません。
いいタイミングなのかな・・なんて思ったりもしています。
私たちの選択は、「人手不足の補填」や「安い労働力」として技能実習制度を使う(そもそも我々はそんなつもりは毛頭ありませんが・・)のではなく、「長期雇用を前提として正規社員を採用し、大切に育てながら共に成長していこう」という方向に舵を切るものです。
だからこそ、この数年進めてきている社内の様々な改革が一日も早く実を結ぶ様に、最大限注力していきたいと思っています。