講話

 

  

 

 2週間前、ある取引先の担当の方から突然の電話。

要件は

「来週のWEB生産会議で、品質に関する講話をお願いしたいのですが…」

という内容。

「私がですか!?」

「品質が優良な企業の取り組みなどを、他社さんとも共有したいのですが…」

とのこと。

 

 ちょっと意外でした。

というのも、私自身は当社の品質活動はまだまだ”発展途上”であると認識していますし、『あるべき姿』までの道程は長いと感じているからです。

「御社では、弊社は品質の良い会社だと評価されているという事ですか?」

「そうです」

「でも事業内容や規模もそれぞれですので、共有できるようなことはあまりないような気もしますが…」

「具体的にこんなことをやっている…みたいな内容で良いですよ」

「なにか”特別な活動”をしているわけではないので…例えば”考え方”の様な概念的なことでも良いんでしょうか?」

「そういったもので構いませんので、お願いします」

「はぁ… 時間はどれくらいの予定ですか?」

「凡そ5~10分ぐらいでいいと思いますよ…」

「分かりました。ちょっと内容考えてみます…」

 

 某メーカー様の協力会。

会員数は50社以上(その時のWEB会議の参加社数は3~40社くらいだったでしょうか…)。

しかも生産会議に出席される方々は、経営層の方やある程度の役職の方が多いかと思われます…

(やばい…超緊張するぅぅぅ…)

(何を話せばいいんだろう…)

取り敢えず話せそうなことをいくつかピックアップして箇条書きしておきました。

  

 私はこう見えて人前(しかも大勢の…)で話しをするのが苦手です。

若いころはそうでもなかったんですが、今では”苦手”を通り越して”嫌い”になってしまっています。

その割に話が長いので、私のことを「話好き」だと思っている人もいるかも知れませんね…

でもそれは極度に緊張してしまうが為、逆に多弁になってしまうってことが理由にあるんだろうと思っています。

あと、相手にちゃんと届くよう、伝わるようにと同じことを”言い回し”を変えて何度も話す「癖」のせいもあるのでしょう…

人前で堂々と、しかも上手に話の出来る人は本当にすごいなぁ…と思います。。。

 

 

 やはり当日はド緊張…

全然うまくお話しできませんでしたので、その時の話の内容を要約して記しておきたいと思います。

私たちの行っている品質改善活動についてです。

これ以外にももちろん色々ありますが、業種や事業規模を問わない内容かな…という部分で考えました。

テーマとしては大きく2つ、そしてその2つに対して具体的な活動内容を4つずつお話しさせていただきました。

 

― 発生原因にフォーカスする ―

 私たちは不具合が起きた際、「発生原因」と「流出原因」に分けて考えます。

それは何のために品質改善活動を行うのか…の違いに起因します。

 そもそも不適合品の流出の対策は、お客様の為の活動です。

不適合品がお客様に納品されてしまうと、お客様に多大なるご迷惑をお掛けすると共に、当社に対する信用も失墜してしまいます。

しかし言い換えると、極論お客様にとっては「不適合品が流入して来さえしなければ良い」のです。

何時間かけて検査をしてもらっても良いし、何十人検査員を増員しても構わない。

製品単価にさえ反映されなければ…ですけどね。

 一方で不具合の発生に対する対策は、私たち自身の為の活動です。

不具合が発生した場合、その瞬間から私たち自身が「損」をしはじめます。

それはお客様の信用云々ではなく、「時間」や「費用」の損です。

流出させてしまえばクレーム対応や現地修正にも時間を要す上、引き取りや再納入に掛かる経費も発生します。

社内で発見されたとしても、修正する作業工数が掛かりますし、作り直すにはその分の材料や加工時間も余分にかかります。

更に掘り下げると、『機会損失』(本来やるべきことができなかった分)という視点を加えれば、それらの損失は2倍になりますよね。

「自分自身(自社)が損をするから不具合を発生させてはならない」と、『自分事』として考えることがスタート地点だという考えです。

その為に当社では、不具合損金(1ヶ月の売り上げ÷労働時間×全不具合対応に要した工数×2)を毎月公開しています。

そうして「何円損をしたのか」を可視化することによって、「不具合対策は自分たちの為にやるべき」という思考に置き換えることができるようになるからです。

その金額はもともとは自社の利益だったはずで、最終的には自分たちの賞与や昇給の原資であったはずだ…と。

その上で、

  • 社内発見の不具合にも是正予防活動を展開する(発生原因に対する対策を講じる)
  • 社内共通フォーマットを運用して真因を追及する(なぜなぜ…を繰り返す)
  • 「いつ」「誰が」「何を」「何個」「どれだけの時間で」製造したのか、全てのログを残す(トレーサビリティ)
  • 標準類の整備(作業標準やルール、遵守の仕組み)

といった具体的な活動に落とし込んでいます。

社内で運用している是正予防活動では、「チェックシートを作成して…」とか「ダブルチェックを行い…」みたいな対策は基本的に認めません。

それらは「流出」に対する対策、または発生原因に対する対策の「歯止め」として行うケースはありますけど…

  

― 質の良い製品は質の高い労働力からしか生まれない ―

 板金製品のコモディティ化や生産設備の高度化によるスキルレス傾向には、良い側面と悪い側面があると考えています。

生産の高効率化や、作業者の練度に依らない生産性や品質の確保を「光」の部分だとするなら、作業者の習熟度の低下は正に「影」の部分と言っていいからです。

仕事におけるそれぞれのタスクには、「なぜそうしなければならないのか」「なぜそうしてはいけないのか」という背景があります。

それは自社の諸先輩方や同業の先人たちが考え、実行し、失敗を繰り返して得られたものの筈です。

 よってその背景を正しく理解して実行するためには、ある程度の技術や知識、経験の積み上げが必要になります。

更に言えばそれは技術的な要素だけではなく、「作業上のルール」や「手順」などでも同じことが言えます。

言われたことだけをただ漫然とやっているだけでは身に付かないものなんです…

 そういった意味では、如何にICTなどが入り込んだ今どきの製造現場であっても、作業者の習熟度が低くて良いということはありません。

 その為に会社としては「長期雇用」が前提であるべきですし、社員の教育・訓練に割くリソースも必要です。

また社員の側も高い学習リテラシーや職務意欲を持ち、双方が高いエンゲージメントの基で結びつく必要があります。

そうして得られた「質の高い労働力」の行使に拠ってこそ、「質の高い製品」が出来上がるのだと考えます。

逆に言えば「製品品質の劣化」は「労働の質の劣化」とも言えますね。

 以前このブログでも少し触れましたが、当社が外国人技能実習生の採用を中止する方向に舵を切ったのも、そうした考えに行きついたことが要因の一つとなっています(もちろん外国人技能実習生の全ての質が悪いという意味ではありません)。

そしてそのために当社は、

  • 離職率低減を図り、雇用を安定させる(離職率上昇=採用活動の失敗と捉え、採用基準の統一や適性検査を実施)
  • 定量的な目標管理(根拠ある目標設定のプロセスとストレッチゴール)
  • 成果と評価のリンク(KPI、明らかな数字での評価⇒納得感)
  • 社員教育(目標達成に向けた支援、勉強会など…)

以上の様な活動を推進しています。

 

 もちろんこれら以外にもいろいろな仕組みや仕掛けを講じて、品質改善活動に取り組んでいます。

なかなか効果の出ないものもありますが、確かに社員のみんなの品質に対する意識は高まってきていると感じます。

「不良0」への道はまだまだ長いですが、一歩ずつでも着実に前進はしていきたいものですね。

 

 

 話し終えて時計を見ると…

15分以上も喋ってしまいました…

(うわぁ…失敗したなぁ…)

 落ち込んでいた私に、隣で聞いていた営業スタッフは

「社長…話長いっスね(笑)」

と追い打ち…

出席されたみなさん、申し訳ありませんでした。。。 


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